暴風! ニノテ
一週間が過ぎる。
敵は現れなかった。放課後には、トミイチ以外が島に集まる。
忙しいと言っていたとおり、島へ行ったのは一度だけ。
のんびりとした時間が過ぎていくように見えた。
休日。
いつものように
しばしの沈黙を破り、敵が現れたのは、
『グレータンデム、
「いくぜ」
「え? 僕も何か言う? いきます」
キヨカズの困惑を
『発進!』
足場に乗ったロボットが移動し、エレベーターは動き出す。
メカ担当のメバエが、メガネの位置を直した。
白衣の少女は無表情だ。
島の地上に出た、
日差しが強い。各部のスラスターから出ている光は、よく見えない。
『現在、ニノテ以外に
「町を
コックピットで悔しがるライゾウ。
巨大な緑のロボットは、港に立っている。
車が走っていないことが幸いした。混乱はない。
「海の上に、おびき寄せよう」
上の段のコックピットに座るキヨカズが、提案した。
グレータンデムは、海上を移動する。町へ向けて。
ニノテが攻撃を始めた。
『射程が長くて誘い出せない』
シーイー弾は実弾より遅い。
簡単に当たりはしないが、近付くこともできない。
『
「スミコに任せる。ここは俺に任せろ」
「僕たちに、でしょ」
長距離射撃をする緑のロボット。
ライゾウは、敵に通信を試みる。
「さっさと、こっちにこい!」
『嫌。さっさと当たって』
ミドリは、町から動く気がなかった。
攻撃が止まる。
『
「どっちがだよ」
ブルータンデムが、緑のニノテを押さえつけている。
ライゾウが注意をそらし続けたあいだに、地下通路から接近していた。
「やったな。タカシ」
坊主頭のミツルは
二人とも、表情が
グレータンデムは、一足先に島へと移動。
「島に着けば、僕たちが」
キヨカズが伝えた。ディスプレイに映るのは青と緑。
陸地に上がり体勢が崩れたところを、ミドリは見逃さなかった。
至近距離で射撃を受ける、ブルータンデム。腕を破壊され、倒れる。
グレータンデムは、対応できる距離にいなかった。
「油断したのか、俺」
ライゾウは、攻撃を止められなかったことを悔やむ。
2機のロボットが対峙した。
『ブルータンデム、
『コアは無事です』
『
ライゾウには、通信を意味のある言葉として認識できなかった。
ひたすら、島の中心部に向けて後退。シールドで
攻撃できるときに攻撃しなかった。
「自爆機能が動く前に、さっさと負けを認めろ!」
『だから、なに?』
ミドリは淡々と攻撃を続ける。
「まさか」
キヨカズは、武器の
『責任は私が取るから。倒せ!』
スミコの声が響く。
攻撃を受けるグレータンデム。
『どっちか選ぶなら、ライゾウを助けるに決まってるでしょ』
『キヨカズ! 早くするのじゃ』
二人の声を聞いたライゾウの目に、力が入る。
「
「分かった。僕もやる」
キヨカズは、武器の
「接近して当てる!」
「足は無事だ。いける」
ニノテの背中から飛んでくる、長距離用のシーイー弾。
薄い灰色の機体は、建物を
つづいて、肩から発射された中距離弾も、寸前で回避する。
「まずは遠距離!」
右手の銃による、正確な射撃が命中。
左背中の長距離砲を破壊した、グレータンデム。
「よし」
同時に、キヨカズが操作するシーイーキャノンが命中。
右背中の長距離砲を破壊した。
敵ロボットは爆発しない。
だが、その隙をつかれ、グレータンデムは攻撃を受ける。
「
「射撃は任せて」
右手の光る
腕の
スラスター全開で接近し、ニノテの肩を狙う。中距離砲を使用不能にした。
グレータンデムは、ニノテを建物に押さえつけた。
日が高くなる中、ボロボロになって静止する二体の巨大ロボット。
消える、目の光。
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