任務と、意思
赤い服のパイロットは
武器を持っていなかった。
スミコたちの
地下の会議室に集まる、主要メンバー。
いっぽうで、地上のエンジニアたちが、巨大な赤いロボットを回収していく。
「アカはフユの兄じゃろう。生物学的に」
「妹が病気で、金が必要だった」
「なに? 今から、どうにかして金貰おうぜ」
「ちょっと、ライゾウ」
キヨカズは顔をしかめた。
「確認してみてよ」
スミコが、十代後半の男性に言う。
両手は自由に使える。持ち物は没収していない。
パイロットは、おとなしく従うように見えた。だが、手が止まる。
「わしに貸すのじゃ」
眉を下げたライゾウがのぞきこむ。
入金されていた。
「使い捨てにするのが、
「
考え込むキヨカズは、思いを伝えるべきか迷っていた。
「
「なら、もう、
二人の少年は、対照的な表情をしていた。
スミコの
「エンジニアとして働きなさい。アカ」
「爆弾を
誰も反対しなかった。
アカは、
「アースの人間とは、
「ロボットを受け取るときも?」
「会ってないんだ」
「どうせ、四人ともコードネームでしょうね」
「ほかは知らないが、自分は本名だ」
アカがさらりと言った。
「なんだよ。アースは形から入る
「なんで、わしのほうを見るのじゃ」
地下の通路から出てくる、四人とアカ。
待ち構えていた五人に見つかった。ライゾウの同級生たちだ。
「なんで、お兄ちゃんがいるの?」
「エンジニアとして、頼りになる存在よ」
即座に、笑顔で答えたスミコ。
「そう。今日は、特別ボーナスが」
「キヨカズ! それは、言っちゃダメなやつだろ」
「え? そんな話、あったっけ?」
銀髪の少女は表情を変えない。外ハネヘアの少女が白い歯を見せる。
「とにかく。今日は遅いから、また明日、ゆっくり話すわ」
「それがいいじゃろう」
足早に去っていく二人。
アカは何も言わず、優しい顔でフユを見ている。
「明日はのんびりしようぜ。みんなで」
伸びをしながらライゾウが言った。それぞれが帰路につく。
翌朝。
休日を利用して、まずはライゾウたち四人が集まった。
普段着で駅前にいる。
しかし、ダブルデートではない。
少年少女たちのもとに、クラスの数名がやってくる。
タカシとミツル。フユとメバエとホノカ。
続いて、長めの髪の人物があらわれた。
「俺が呼んだ。戦力になるぜ、トミイチは」
詳しい話をするため、ライゾウたちは移動する。
やってきたのは、駅近くの大きな公園。
人影はまばら。
なぜなら、すでに桜がほとんど散っているからだ。緑の葉が影を差す。
十人で、まるいテーブルを囲んで座った。
少年少女たちに説明する、島の持ち主、スミコ。
「――というわけで、四天王の一人を倒したの」
それがアカだとは言わなかった。
「なんで、お前が、自慢げなんだよ」
「そういうこと、言わない」
キヨカズが間髪入れずに言った。
話が、グレータンデムの運用に移る。
説明する機会がやってきたネネは、
「ロボットのパイロットが、足りないのよ」
「オペレーターもじゃ。わしには向いてない」
そのとき、二人の手があげられる。
「ボク、やりたい」
「オレも」
短髪のタカシと、坊主頭のミツルだった。
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