桜花の、睦月学園
光る
グレータンデムは、腰に武器をしまった。
爆発が収まり、敵のメカは原形をとどめていない。
「やけにあっさりしている」
『確かに。攻めるなら今』
キヨカズの言葉に、通信で同意するスミコ。
敵の反応はない。
『オペレーターもいないのに、よく
『データ収集が目的、か』
ネネの推測を、ライゾウは聞いていなかった。
「勝ったんだ。考えるのは、あとにしようぜ」
『送った
巨大ロボットは、すこし背が高い建物を目指した。
壁が開いて現れる、巨大なエレベーター。
その上に乗る。壁が閉まり、地下へと降りていく。
二人は、ただ座っていた。台が
「きれいに使ってくれたな。
コックピットから出た二人は、声をかけられた。
「お仕事、おつかれさまです!」
「お疲れさまです」
ライゾウが元気よく言って、キヨカズはつられて
金属で
手すりつきの道を、外ハネヘアの少女が近付いてくる。
「
「
四人が通路を歩いていく。一直線に壁際の入り口を抜け、その先の廊下へと。
スミコたちの
説明好きのネネによると、表向きはロボット技術の会社。
島の地上にダミーの建物をたくさん用意して、地下に本部がある。
スラブの人間は、地下のトンネルを使って町へ移動できる。
さいきん、地下に危険物があると分かった。現代の科学では分解できない。
スミコは
ネネを含めた三人は、並ぶ机を背にしてスミコのほうを向いている。
「今回は緊急事態だったけど、次からは地下のトンネルを使ってね」
「
ネネは小さなてのひらを上に向け、手を伸ばした。
素直に受け取ったライゾウと違って、キヨカズは考えている。
「もう、正式パイロットで登録したから。早くしてよ」
「分かった。でも、ほかのパイロットも探してほしい」
キヨカズは
桜の花びらが舞う。
あれから数日が経過している。敵は現れなかった。
遅刻しそうになったライゾウは、見知った顔を見る。
「同じクラスになるように、手を回したのか?」
制服姿のキヨカズは何も言わなかった。
「なんのこと?」
「わしは知らん」
二人の少女は、微妙に違う反応を見せた。
ちらりとスミコを見たあと、キヨカズが
「
「苦手分野があるのじゃ」
あっさり告白したネネ。
体育館に入った生徒たちが、椅子に座る。
理事長や学校関係者からの言葉は、短いものだった。
入学式が終わった。
体育館から出てきた生徒たちは、それぞれの教室へ向かう。
「担任のナカバです。よろしくお願いします」
席についた生徒たちに向けて、若い男性が言った。
木製品に囲まれて、ブレザーを着た生徒たちの自己紹介が始まる。
「タカシです。よろしく」
短髪の少年は、ぶっきらぼうである。
「トミイチといいます。よろしくお願いします」
長めの髪の少年が、
「オレはミツル。よろしく」
坊主頭の少年は、照れているようだ。
ほかの生徒たちも、名前を告げていく。
「フユです。よろしくね」
おさげで癖のある髪の少女は、笑顔。すこし痩せている。
「ホノカっていうの。みんな元気?」
内巻きの髪型の少女は、のんびりと言った。
「メバエです。よろしく」
ミドルヘアの少女は、てきぱきしていた。メガネをかけている。
授業はなかった。
連絡事項が伝えられる。
「みなさん、
先生が言った。
しかし、柔らかな物腰であまり存在感がない。
すぐに騒がしくなった教室。
ライゾウも、右隣の席のキヨカズと雑談を始める。
左隣の席にはスミコが座っている。
スミコの左隣の席にいるネネは、眠そうだった。
荷物を片手に、生徒たちが帰っていく。
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