第100話 始まってからの三日です5

二日目


今日の授業は社会学と科学だ。

昨日初めて知ったのだが、

一日の授業は午前の二時限しかないらしい。

理由は、それぐらいじゃないと授業の内容が足りないのと、

家で農作業などの手伝いをする子もいるからだそうだ。

昨日は算学の後、語学だった。

間の休み時間で、アデクがこちらを睨んで舌打ちしてきたが何だったのだろうか。


さて、昨日のことを思い返すのはここまでにしよう。

僕は昨日と同じく学校へと歩いて行く。

曇天の道を進み、村に着いたところで


「おう、おはよう、アヤト。」

「おはよう。」

「……」


アレフ達三人組と合流した。

挨拶を返し、四人学校に向かう。

アレフとたわいも無い話をしたり、

三年生の内容まで勉強しているという噂が本当であったビートと勉強の話をしたり。

え?ギーム?いつも通り船をこいでるよ。


校庭を通り抜け、昇降口から入ろうかというところで――

咄嗟に後ろへ振り返る僕とギーム。


飛んできた手を掴んで止める。


「やっぱり、ダメだった。

……それよりも、ギーム君にまで気付かれるなんて。」


そう言うのはルーシェちゃんだ。

最近は全然やってこなかったから忘れかけていたけど

ルーシェちゃんにとっては不意打ちの

僕にとってはそれを防ぐっていう訓練があったな。

最初はルーシェちゃんのリベンジだったけど

いつの間にかディーさんが訓練項目にしちゃったんだよな。


そこにミリアちゃんも来て、一年生全員で教室に入っていった。




朝の会が始まる時間の直前、


「ちょっとごめん、先生が来たら言っといて。」


アレフ達としゃべっていた僕は催していまい、

そう言って教室の扉に向かう。

そして、それを横に引くと

怖いほどに無表情なテレージア先生がいた。


「せ……んせい。おはようございます?」


「おはようございます。どうして疑問形なのー?」


にこっと笑顔で聞いてくる先生。

気のせいだったか……


「それより、もう朝の会だけど――」


「すみません、ちょっとお手洗いに。」


「そう、今度からは出来るだけ時間に余裕を持って行くようにしてねー。」


「はい。」


そうして、僕は廊下を走っていくのだった。


「アヤト君、廊下は走らないでー。」


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一限目 社会学


一年は十ヶ月です。

月の満ちかけ一周期で一ヶ月。

一ヶ月は四十日あります。

歴史はこれを基準に書いていくので覚えましょう。


太陰暦だと……季節ずれていかないのかな。

教科書の最初に書いてある文をみて思う。

こっちの世界では一年が四百日か。

月の名前がそれぞれ書いてあったが、

面倒なので一月から十月としておこう。


今まで気付かなかった新たな事実を読み込み、授業を終える。




二限目 科学


昼の間に空に浮かんで光っている太陽は東から昇って西に沈んでいきます。

もう一つ夜に光っていることもあれば昼に見えることもある月も

東から昇って西に沈んでいきます。


僕の理解する言語が向こうの世界の日本語だから太陽と月って読んでるけど、

動きまであっちと一緒なのか……。




こうしてあっちの世界との差異を確認できた二日目だった。

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