　君はいつも皆（みんな）に囲まれていた。

　なのに、いつも泣いていた。

　私なんかより、もっと、ずっと、楽しいはずなのに。

　それでも、泣いていた。

　この世界は残酷だ、と、いつも言っていた。

　私が世界は綺麗だよと、言っても。

　残酷だって。

　──最期の最期まで。

　私はいつもの様に、なんて事ないみたいに思いっきり笑って、

「世界は、本当に綺麗だね」

　って言った。

　きっと、たった数秒先の未来もわからなかったんだろう。

　君は、

「綺麗な訳がないよ。世界は、残酷なんだ」

　って、結局、一度も私の言葉を認めることはしなかった。

　それを聞いた私は、やっぱり、いつもと同じ様に笑って、

　大空を舞った…………────。

　私が世界に染まりながら落ちて行くその間の君の気持ちを考えて、とても残酷だと思ったけど。

　やっぱり綺麗だと思ったんだ。

　そして、もう二度と伝えられない言葉を、そっと、心の中で囁（ささや）いた。

「好きでいてよかった」

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