コイバナと物陰

「にゃるほど、ベリ子さんを呼び出せばいいのにゃ」


「まぁ、エースさんやその他の方である可能性も捨てきれませんでしたからね……」


「それじゃあ早速、呼んで来るから頑張れにゃあ」


「嗚呼!ㅤこういうときの無神経ってホント強い!」


ㅤテクテクテク。


「お墓の裏手へ来るように言ったにゃ。わがはいは物陰に隠れて見ているにゃあ」


「……」




ベリ子「どうしたの?ㅤ アダムくん。こんなところへ呼び出して」


「実は……ヒトの気持ちについて知りたいことがありまして」


ベリ子「人の気持ち?」


「コイとか、アイとか……ロボットからしたらよくわからないんですよねー」


ベリ子「どうしたの、突然」


 ㅤ急な質問に、戸惑いながらも、微笑みを返すベリ子。にゃ。


ベリ子「私だって、言葉で説明するのは難しいけど。でも、悪くないかなって思う」


「わ、悪くない、とは?」


ベリ子「傷ついたり、イラついたり。凹んだり、傷つけたり。恋をすると、誰もが素敵な気持ちだけでいられるわけじゃない。それでも、悪くないって思うの」


「何だか、難しいですね」


ベリ子「アダムくんも、してみればわかるよ! ㅤって何か、語っちゃってごめんね。それに……」


「いえ。わかる気がしてきました。ワタクシにも」


ベリ子「そっか。こんな話、めったにしないから楽しい」


「実は、ワタクシ。何かが変だと思っていました。この気分は何だろうと、夜も眠れずに考えました。きっと、この気持ちが……」


ベリ子「恋、してるんだ」


「ええ……ぁい?」


ベリ子「まだ、私とアダムくんの秘密ね」


「嗚呼……かしこまりです。楽しいひと時を、ありがとうございました」


 ㅤペコリ。




「ダンボールの中、意外と気持ち良いにゃ。これはハマりそうだにゃ!」

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