花の名は

「ここが、地球か」


「ようやく、帰れたのね……」




「イヌくんイヌくん」


「なんにゃ」


「この、かつてオリーブオイルが入っていたダンボールに共に身を隠し、しばらく聞き耳を立ててみましょう」


「了解にゃ」




「見てくれ。花が咲いている。美しい……この花に僕たちは呼び戻されたのだろうか」


「そうかもしれないわね。ねぇ、みんなも見て!」




「ざっと見たところ、16名はいますかね」


「これは多いにゃか?ㅤ少ないにゃか?」


「さて、どうでしょう……。それより問題は、凶暴性があるかどうかです。しかし、あの男女二人以外の言葉が聞き取れませんね」


「男の方は話せているみたいにゃが、女の方は通訳してもらっているみたいにゃ」


「もう少し近づいてみましょうか」




「それにしてもこの美しい花の名は、何と言うのだろうね。僕はこの花が気に入ったよ」


「私も、綺麗だなって思う。けど、名前はわからないわ。花が花ってわかるくらいで」


「なら、僕たちが名づけてしまおうか」


「それはいい考えね!」


「いえ、そちらの花は、『アイリス』といいます。花言葉は、希望、良き便り」


「何だって!? ㅤこりゃ凄い!」


「それほどでもありません」


「動くダンボールだぁ」


「喋るダンボールね」


「アダム……。かくれんぼ、下手くそだったにゃか」

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