第三話

 一週間後。私は今、病院の外にいる。忌まわしい水色の入院着を脱いで、今は可愛い花の刺繍がある真紅のワンピースを着ていた。靴も水色のスリッパなどではなく、黒いパンプスを履いていた。今日行く場所はオシャレをしていく所ではないが、私も年頃の女子だ。服装くらいは気にする。少し肌寒いが我慢だ。

 久しぶりの外の空気はなんだか新鮮だった。病院の窓から感じる空気とは違う。外の空気は少し淀んでいるが、それでも私はこの外の空気が好きだった。

 そして景色も違う。真っ白い監獄から解放された私にとっては、青い空も灰色のビルもとても色鮮やかに見えた。外の世界はこんなにも綺麗。私は感動した。


「結衣? 何してるの? 早く行くわよ」


 感動に耽っていると、前から母の急かす声が聞こえた。そこで一気に現実に引き戻される。こんな浮かれた気分じゃダメだ。こんなんじゃ簡単に騙されてしまう。


 母が用意したタクシーで、私たちはあの『生命バンク』まで向かう。タクシーの中では両者無言だった。話す事なんてなかったし、母と話したい気分でもなかったので別に良かったと思ってる。

 数十分後、私たちは目的の場所に着いた。

 私がイメージしているような銀行とはだいぶ違った。思ったよりも小さく、その外観は商店街にある小さなお店のような感じだ。

 黒い外観はあの白しかない無機質な病室と対照的だった。不気味さを漂わせている。

 タクシー代を母が払い、タクシーから降りる。銀行の前まで歩くと、自動ドアが独りでに開いた。


「いらっしゃいませー!」


 窓口にいる若い女性が声を掛ける。甲高い声と小さい背丈。銀行員とは思えないほどの幼さを感じた。一応銀行員の制服らしき服を着ているが、なんだか服に着られているような感じがする。

 市松模様の床に、真っ黒い天井。およそ銀行とは思えない所だった。右側に窓口があり、奥にはソファとローテーブルが置かれている。六畳一間しかないのではないかと思わせるほど、とても狭い。窓口は一つしかなく、銀行というより寂れたお店のような雰囲気を醸し出ていた。暖房が入っているのだろうか、外よりは暖かい。


「お客様、当銀行をご利用するのは初めてですかあ?」

 さっきの声のまま私たちにそう声を掛ける。母が「初めてです」と返した。


「そうですか。ではこちらの書類に必要事項をお書き下さい。記入漏れがないようにお願いします。担当の者が来るまで、あちらのソファでお待ち下さい」


 そう言われた私たちは、奥のソファに隣同士で座った。

 書類には名前や住所、生年月日を記入する欄の他に、寿命を貸すのか借りるのかという事まで記入する欄があった。

 書きづらい内容だなと思いながらも、私は欄を埋めていった。


「お待たせしました」


 そう言って私たちの前に現れたのは、黒い髪に黒いスーツの、全身真っ黒な若い男性だった。不気味な雰囲気を漂わせる一方、顔が整っているせいかあまり怖いとは感じなかった。世間ではイケメンに部類される方だろう。


「担当の源命みなもとの みことです。苗字では呼びづらいと思うので、どうぞミコトとお呼び下さい」


 ミコトさんは笑みを浮かべお辞儀をする。執事を連想させる振る舞いだ。

「あの……寿命を借りたいんですけど……」

 そう最初に口を開いたのは母だった。

「はい。奥様がお借りになる形ですか?」

「いえ、寿命を借りるのはこの娘です」

 母がそう言うと、ミコトさんは口の方に手を当て私の方を見る。何か考えているのだろうか。じろじろ見られている感じがして、正直あまり気分がいい方ではない。

「なるほど、わかりました。失礼ですが、娘さんのお名前をお聞かせ願いましょうか」

 ミコトさんが私の方を見る。

「あ……涼野結衣といいます」

「結衣さん、ですね」

 ミコトさんは私の正面にあるソファに座った。

 いきなり下の名前で呼ばれたので動揺してしまう。まあ同じ苗字の母がいるから仕方ないのかもしれないが。けれど初対面の男性に下の名前で呼ばれるのは、なんか変な感じだ。


「当銀行はその名の通り、命のやり取りをする銀行です。ですので我々としては、お客様が本当に生きる価値のある人間なのか見定める必要があります」


「ええと……それはつまりどういう事でしょうか……?」

 ミコトさんの言葉に母が首を傾げる。

「つまり、私がお客様を生きる価値のある人間だと判断したら寿命をお貸しする事が出来ますし、逆に、私がお客様を生きる価値のない人間だと判断したら寿命をお貸しするする事は出来ません」


 真剣な顔でミコトさんは私たちにそう告げた。私はもう黙っている事しか出来なかった。しかし母はそうじゃないようだ。何か言いたげな顔をしている。

 ミコトさんは話を続けた。


「結衣さん。貴女の命はもう長くないのではないでしょうか。ここに寿命を借りに来るお客様は、皆そういう方ばかりです。我々も無限に命を貸し出せるわけではありません。命をお貸ししてくれるお客様がいるからこそ、命を提供する事が出来るのです。ですので限りある命を、本当に生きる価値のある人間にしか提供出来ないのです」


「じゃあ、結衣は……結衣は寿命を借りられないかもしれないって事ですか?」

 母は困惑していた。若干声が震えている。

「そうですね……申し訳ありませんが」

 絶望的な表情を浮かべる母。そんな母の姿を私は横目で流した。


「生きる価値のある人間ってどんな人間ですか?」

 無表情のまま私はミコトさんに尋ねた。

「そうですね……簡単に言いますと、『世の中のためになる人間』でしょうか。何か秀でたものを持っていて、その秀でてる部分が世の中のために活かせるのなら、我々も喜んで命をお貸し出来ます」


 そう言って微笑を浮かべるミコトさん。私は訝しげな目を向けた。この人は何を言っているのだろう。命に優劣をつけるというのか。私はミコトさんに、というより、この銀行のシステムに反感をもった。生きる価値のない人間なんていないのに。

 そもそも私はこの銀行を元より信用なんてしていないが。


「ではまず、結衣さんの実績を教えてくれませんか?」

「……人を価値のあるないで判断する人は嫌いです」

 ミコトさんの問いにそう答えた私。すかさず母が私を叱る。

「結衣! 何を言ってるの、失礼でしょう」

 じゃあ母はこの銀行のシステムに賛成出来るのか、そう問いたくなる。


「……ふっはは! いやあ、そんな事を真っ向から言われたのは初めてですよ。……ふむ、貴女は物怖じせず自分の意見を言える度胸がありますね」


 ミコトさんは笑ってそう言った。

 何故笑ったのかはわからないが、ミコトさんは感心した様子だった。

 私は苛立ちを隠す事が出来なかった。人が真剣に話しているのに、なんだかすごく馬鹿にされた気分だ。


「ああ、お気を悪くされたなら謝ります。でも私は貴女のような人、嫌いではないですよ」


 爽やかな笑みを浮かべられても苛立ちしか起きない。イライラは増す一方だった。こんな人に付き合ってられない。一刻も早く、ここから立ち去りたかった。


「話を戻しましょう。改めて聞きます。結衣さんの実績は何かありますか?」


 ミコトさんがそう言うと、今度は母が口を開いた。


「結衣は、結衣はピアノのコンクールで賞を取った事があります。結衣はピアノがとても上手なんです。病気で入院さえしなかったら、音大の推薦を取れたほどなんです」


 母は真剣な眼差しで訴えた。

 こんな人に自分の事を深く知られたくない。しかし母は私を生かそうと必死なのだろう。だからこんな信じがたい事にも縋るのだろう。例え数パーセントの希望しかなくても、その一縷の望みにかけて。

 子を思う母の姿勢は目を見張るものがあるが、今だけはその母の気持ちがうっとうしい。私は嫌なのに、こんな所来たくなかったのに、母はそれを理解してくれない。それがとても辛いのだ。


「こんな将来有望な子が、病気で早死にするなんて私は耐えられません。ですから、ですからどうか結衣を救って下さい……」


 母は泣きそうな顔でそう訴えた。その弱みにつけこむ悪い人間もいるのに。利用する人間もいるのに。今がまさにそうだ、母はこの銀行をすっかり信用しきってる。

 母を守る事が私に出来る最期の親孝行だと思う。だから私だけは意思を強く持たなくてはならない。こんなのに騙されちゃいけない。私は、はっきり言わなくてはいけない。


「なるほど。そうですか……」


「あの」


 ミコトさんの言葉を遮って話しかける。


「さっきミコトさんは命に優劣をつける話をしてましたが、貴方の方こそ生きる価値のない人間なんじゃないですか? 寿命の貸し借りなんてでたらめな事を言って、人を騙すなんて」


 私の言葉に一番驚いたのは母だった。母はまた私を叱ろうとするが、ミコトさんがそれを制止する。


「私は嘘を言っていませんよ? 結衣さん、貴女はどうやら当銀行に疑念を抱いてらっしゃるようですね」

「当たり前じゃないですか。こんな非現実的な話、信じられるわけありません」


 そう私が言い放ったあと、ミコトさんは一息ついてこう言った。


「自分が信じている現実が正しいとは限りませんよ。そう、目に見えるものだけが真実だとは限らないんです。先ほど当銀行のシステムを非現実的な話だと仰いましたが、貴女の言う現実的な話はなんでしょうか? ご自分が病気で長く生きられないと言う事ですか? その現実を受け入れ、簡単に引き下がる事が出来ますか? そんな簡単にご自分の人生を諦めていいんですか?」


 ミコトさんの言葉には、とても重いものを感じた。ブラックホールみたいな黒い瞳が私に訴える。本当に死んでしまっていいのかと。私はミコトさんの瞳に吸い込まれてしまいそうだった。


 自分の痛い所を突かれてしまった。私だって死にたいわけじゃない。病気から解放されたいのだ。死ねば病気の苦しみから解放される、そう思っていた。でもそれでいいのだろうか。生きる事を、生を、そんなに簡単に諦めてしまっていいのだろうか。


「結衣さん、死んでしまったら何もかもおしまいなんですよ」


 まるで悪魔の囁きだ。率直にそう思った。そうやって私の弱い部分を刺激し、揺さぶりを掛ける。やり方が汚い。洗脳に近いものがあるのではないか。ミコトさんはまるで悪魔だ。


 私の気持ちはもうミコトさんに傾いていた。


「私は貴女の口から生きたいという言葉を聞きたいのです」


 追い討ちを掛けるミコトさん。目が怪しく光っているようで、私を責めている感じがする。

 私はこう言うしかない。


「生きたい……です」

 これが自分の本心なのだから。


 ミコトさんは満足感からなのか、にっこりして私に言う。

「自分の思いをきちんと言葉にするのはとても良い事です」

 恐ろしい人だ。ミコトさんは人から言葉を引き出す天才だ。だからこそ沸き上がる恐怖。得体の知れないものに会った時のような、不気味さから沸き起こる畏怖の念。

 私は警戒心を解けずにいた。この危機感を捨ててしまったら、本格的に終わりな感じがする。


「では話をまた元に戻して……先ほどの結衣さんの実績から考えると、寿命をお貸し出来る条件を満たしていると考えます」


「じゃあ結衣は死ななくていいんですね!」


 母が歓喜のあまり、その場で立ち上がる。いい大人なのにみっともない、なんて言えるわけがない。母は今、精神的に不安定だから仕方ないのだ。その辺りは目を瞑らないと。


「今の話だけ聞くと、です。残念ながら、偽りの実績を話すお客様も少なからず存在するんですよ。ですので、こちらで結衣さんの事を調べさせていただきます」

「信用出来ないって事ですか」

 すかさず私はミコトさんに反論する。


「命の貸し借りの問題ですからね。判断は慎重にしないといけません。それに、先ほどまで信用していなかったのは結衣さんの方でしょう?」


 そう言われると、何も言い返せなくなってしまう。これもミコトさんの策略なのか。私はばつの悪そうな顔をして俯いた。


「失礼ですが、結衣さんが賞を取ったというコンクールの名前を教えてもらえませんか」

「はい、コンクールの名前は……」


 母が座り直してミコトさんにコンクールの詳細を話している間、私はずっと俯きながら考えていた。ここにいていいのだろうか、この人を信用していいのか。私の中で警報が鳴っている。本能からこの人が関わってはいけない人だとわかる。

 しかし今縋れるのはミコトさんしかいない。もしも命を貸し借り出来るならば、これ以上の強みはない。医者なんて必要ないくらいだ。死の宣告をされても、ここで寿命を借りる事が出来れば長生きできるのだ。

 ミコトさんの話しぶりから、この銀行の言っている事が本当だと錯覚してしまう。話をするのが上手いからだろうか。言葉の魔力というものはつくづく恐ろしい。


「少しこちらで調べてくるので、少々お待ち下さい」

 そう言ってミコトさんは立ち上がり、奥の部屋に行ってしまった。


「結衣、なんであんな失礼な事を言ったの?」

 今は私と母だけだ。ミコトさんがいなくなると母は私にそう聞いてきた。

 私は母に向き直る。

「……ミコトさんが信用出来ないから。私、あの人嫌だ。怖いよ……」

「人をそんな風に言っちゃいけません」

「ねえ、母さんはどうしてミコトさんを信用出来るの? そもそもこの銀行の事、どこで知ったの?」


 どうしても質問攻めになってしまう。母に聞きたい事は山ほどあるからだ。母は驚いた表情をしていた。そのあと申し訳なさそうな顔をして、私にこう言った。


「……インターネットでね……その、病気で長く生きられない人がいる親族の集まり……チャットというのかしら。とにかくそういうものがあって、そこで教えてもらったの。この生命バンクの事……私だって、すぐに信用出来たわけじゃない。でももうこれしかないの。結衣が助かる方法は……もう。手術をするお金もないし。借金も考えたのだけど……その、支払金が溜まってて……」


「母さん、借金してたの?」


 そんな話初耳だ。母が借金をしてるなんて思いもよらなかった。

 でも確かに考えてみるとそうだ。私の入院代はどこから出ていたのか、疑問が生まれる。うちにそんな余裕はない。借金をしていたと考える方が自然だろう。


「結衣の、結衣のためだから……今の蓄えだけじゃとても入院するお金なんて用意出来なくて……仕事も増やしたけど、そんな簡単に大金は手に入らなくてね……だから借金、しちゃったの……」


 母は私の知らない所で苦労していたのだ。私のために。そう思うと母に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。最近やつれているように見えたのは、仕事を増やしたからか。疲れが蓄積しているのだろう。

 そうなるといつの日か母が、二日連続で同じ服を着ていた事にも頷ける。ずっと働き詰めだったのだ。なんだか急に母に申し訳なくなる。


「……ごめん、ごめんね母さん。迷惑かけちゃって」

「謝らないで結衣。結衣は何も悪くないんだから」

「でも……!」

「仕事を増やしたのも、借金したのも、母さんが勝手にやっただけよ」

 そんな風に言われると、余計に罪悪感に襲われる。私が病気じゃなかったら、母さんにこんな迷惑かけなくて済むのに……

 私に出来る事はただ一つだ。


「お待たせしました」

 そう言ってミコトさんが戻ってきた。ミコトさんは私の正面に座る。手には何か資料や書類を持っていた。

「結衣さんが出場されたコンクールはこれでしょうか。ご確認お願いします」

 資料を私たちに見せるミコトさん。そこには確かに私が賞を取ったコンクールの詳細が書かれていた。

「間違いないです」

 母が資料を確認して頷いた。ミコトさんは私の方に向き直って、じっと私の顔を見つめた。


「最後にもう一度聞きます。結衣さん、貴女は生きたいですか?」

「はい」

「当銀行と契約してもよろしいですね?」

「はい、お願いします」

 私はミコトさんを見つめ返した。その時の私は一体どんな顔をしていたのだろう。

 とにかく決意は固めた。もう後には引けない。

「そうですか。こちらの確認は終わりました。こちらで結衣さんは寿命をお借りしても良いと判断したので、これから手続きに入ります」


「ありがとうございます……!」


 ミコトさんにお辞儀する母。嬉しさのあまり、目に涙を浮かべていた。

 母にこれ以上迷惑をかけないためにも、意を決してミコトさんを信用するしかない。正直、これは危険な賭けだ。ミコトさんが本当に詐欺師だった場合、私たちは損をするだけだ。でも、もしこの生命バンクが本物なら……もう入院しなくて済む。母にお金を使わせなくて済むのだ。

 まるで気分は博打をやっているようだ。私はこの一手に賭ける。


「通帳とか作るんですか?」

 私はミコトさんに尋ねた。銀行というのだから、通帳などがあってもいいはずだ。


「いえ、通帳は作りません。当銀行は分割で貸借が出来ないので、どのお客様も当銀行を利用するのは一回しかないのですよ。通帳など、作っても無駄なのです」


 なんか釈然としない。銀行というのだから通帳くらいあるだろう。いや、ここを銀行だと認識してはいけない気がする。銀行というのは名前だけだ。ここはあえて言うなら……


「では手続きに入りましょう。この書類をよくお読みになり、サインをして下さい。」


 ミコトさんに書類を渡される。そこには契約する際の注意事項などが書かれていた。大体パンフレットで読んだ通りだ。ざっと目を通し、サインをする。

「はい、確かに。では結衣さん、こちらへ来て下さい。あ、お母様はここでお待ち下さい」

 ミコトさんに手招きされ、私は席を立つ。奥の部屋まで案内された。

 その部屋は辺り一面銀色で、たくさんの黒い引き出しがあるだけだった。窓もなく、時計もなく、あるのはたくさんの引き出しだけ。それになんだかこの部屋は肌寒い。室温が一気に下がった感じがする。冷蔵庫の中にでも入ったような感じだ。

 私は目を丸くしてその部屋を見渡していた。さっきの場所とはえらい違いだ。その温度差に驚いてしまう。

 ミコトさんは一つの引き出しを開け、紫色の禍々しく光る小さな欠片を取り出して私に見せた。

「結衣さん、これが人間が持つ生命の源です。この欠片を体内に取り込むだけで、寿命が延びるのです」

 本当だろうか。私はやや困った顔をしながらそれを受け取る。私の手のひらで怪しく光るそれは、毒々しい雰囲気を漂わせていた。

「これを飲んで下さい。ああ、人体に有害な物質はありませんのでご安心を」

「え……でも……」

「これで貴女の命が保証されるのです。恐れる事は何もありません。貴女は生きる事が出来るのですよ? 何を今更躊躇っているのです」

「わ、わかりました……」

 言われるがまま、私はそれを飲んだ。恐怖心もあったが、そんな事言ってられない。欠片は口の中ですぐに溶け、するりと喉を通り抜ける。硬くて飲み込みづらいだろうと思っていたのに、意外だった。


「忘れないで下さいね。この命はあくまでも、他のお客様から『借りた』もの……大切にして下さいね」


 ミコトさんはそう言って、人差し指を立て口に当てた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る