実質

「んー、そういやさ。俺たち付き合って結構経つけど、女の年齢って詳しく知らないんだよね。幾つだっけ?」


「実質17歳だね」


「え? 実質?」


「そう、もろもろあるけど実質17歳」


「は? 何その実質って、17歳なの? そうじゃないの?」


「だから実質17歳だよ。いろいろポイントとかサービスとか付いて実質17歳」


「実質じゃなかったらどうなの?」


「あー、ダメダメ。素人さんはややこしく考えちゃうからダメ。実質で考えないと賢く買い物できないゾ?」


「いや、何歳なのよ……」


「17歳だね」


「誇張なしに?」


「実質はね!」


「話は変わるけど、最近太った?」


「実質53キロだからそんなに太っているとは思わないけど……」


「ウェスト何センチ?」


「実質67センチかな?」


「服のサイズいくつ?」


「実質……」


「いいから真実を教えろよ! 消費者視点に立てよ!」


「で、でも今なら会員になるとお得な特典がつくよ?」


「そういうのいいから実年齢を言えよ!」


「お、女の子には秘密が多いから……」


「それで男が騙されると思ったら大間違いだぞ! 消費者を馬鹿にしすぎだ」


「じゃあ決算売り尽くしセールするから! ポイントも二倍にするから! 実質ゼロ円だよ!」


「ダメだ、消費者センターに連絡する」


「ダメー!!」


 ポイントカードとかメール会員とかいらないからその分安くして欲しい。



 実質終わり。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る