第2章 涙雨

4日目 俄日和

 あの日以来、晴天が続いていた。

サークルの皆とは、あれから会っていない。

何となく、それ以上聞いちゃいけない様な空気だった。

泣いている香織先輩をいつもノリがいい、べん先輩が慰めていた。

ふじき部長から、ごめんねと言われたが、どういう意味のごめんなのか、私には分からなかった。


「かおりちゃん。」声のする方を見ると、和人先輩だった。

「ちょっと一緒に帰ろう。」私はアルバイトがあるからと断ったが、じゃあ途中までと、和人先輩に連れられ、一緒に歩いた。


「かおりちゃんは雨は好き?」そう尋ねられた私は、

正直に、どちらかと言えば嫌いだと伝えた。

ただ、サークルに入ってから、少し好きにもなり初めてきた事も正直に伝えた。

和人先輩はどこか、嬉しそうだった。

「和人先輩は雨、好きですか?」

満面の笑みではなく、少しだけ口角をあげて、

「好きだよ。」と囁いた様な声で返事がきた。

私は、イケメンってこういう笑い方で、こういう声で、絶妙なニュアンスで好きだと言えるのかと恥ずかしさを感じた自分がいた。


「じゃあ、ここまでだね。」和人先輩は安心する様な笑顔で、空いっぱいに手を振りながら、去っていった。


 今日がアルバイトという事に、ちょっと悔しさを感じた自分になるべく気づかないふりをした。


「かおりちゃん。」イケメンの次は、美女が現れた。

晴れの日の香織先輩は、綺麗な白い肌がより一段と光で反射して、綺麗だった。

男性は全員こういう人が好きなんだろうと思った。


「少し、喋らない。」その問に私は、アルバイトがあることを伝えると、

「じゃあ、次の雨の日までに、会えない?」私は、こんなに人からモテるのかと勘違いを楽しみながら、明日は一日暇な事を伝え、香織先輩おすすめのケーキ屋へと一緒に出かけることが決まった。


 アルバイト先に着いた頃、ふと気がついた。

香織先輩と、和人先輩は同じバーバリーの傘だったな。


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