2日目 雨の日
天気予報って凄いな。
朝起きると、昨日とは全然違う、どんよりした空だ。
人混みが嫌いな私に電車通学という考えはなく、大学まで徒歩で20分の所に一人暮らしをしている。
マンションを出て歩いて数秒で学生の味方。コンビニがある。
通学途中にコンビニで一つ750円のビニール傘を買い、大学へと向かう。
今日は、屋上で雨サークルの活動があるのかな。
パンフレットを見ると、サークル参加希望者はふじきまで、連絡先もきっちりと書いてある。
昨日、気づけばよかったと思いながら、ひとまず、屋上へと向かった。
屋上のドアを開けると、カラフルな花が咲いた様に、色とりどりの綺麗な傘が私の目に飛び込んできた。
とっても綺麗で、ビニール傘をさっと自分の体の後ろに隠してしまった。
ビニール傘を恥ずかしいと思ったのは初めてだ。
「こんにちは。」とても綺麗な女性に声をかけられた。
真っ赤な傘で私を迎え入れてくれた綺麗な女性に談笑の中心に連れられ、サークルへの参加希望を伝えた。
皆、傘を肩にかけて、上手に拍手で迎え入れてくれた。
「お名前は?」と、赤い傘の綺麗な女性から尋ねられた。
「木村です。木村かおりと言います。」自分でも思った以上に緊張しながら答えた。
名前を言った瞬間、赤い傘の綺麗な女性が少し、驚いた様な、笑った様な表情をしていた。
「私も、香織よ。」赤い傘の綺麗な女性と同じ名前だった。
ますます私は、ビニール傘が恥ずかしくなった。
雨サークルの部長は藤木さん。
目が細くて、今流行りの丸メガネに、雨サークルではマイノリティーなカッパ派らしい。その日は、緑の綺麗なカッパを着ていた。
一通りサークルの説明を受けた後、今日は、新入生の歓迎もあるので、屋上での談笑だけとの事だった。
その日に私は、人生で初めて、お気に入りの傘を買おうと決めた。
次の雨の日まで、後5日だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます