雨の日に逝ってきます。

さいか

第1章 小雨

1日目 入学日和

 桜が綺麗に咲いている。そんな入学日和に大学生活がスタートした。

 平々凡々な中学、高校をすごしてきた私に、いよいよ大学デビューと意気込む事もなく、なんとなく定まらない将来を大学に進学する事で見つかるような気持ちでいる普通の大学生活を送るのだろう。


 サークルに入ろう。これだけは何となく決めていた。中学ではバスケ部。高校では軽音楽部。何のつながりもない、体育系と文化系を何となくこなしてきた私にとっては、サークルも何となく入る延長線上くらいに思っていた。


 いくつかのサークル勧誘パンフレットを貰ったので、にらめっこをする。チャラいサークルは嫌だ。私は感情的には動けない。

 雨サークル。

 活動内容は雨の日に活動します。雨の日は世間は外出したがらない。

 そこで、雨の日を狙って人が少ない時に活動をしている。

 なかなか論理的だ。

 私は人混みが嫌いだ。満員電車は絶対乗らない。


 雨サークルの活動場所、校舎の屋上へと足を向けてみた。

 晴れの日なので、もちろん誰もいなかった。

 屋上はこれでもかというような晴天が広がっている。

 背筋をぐっと伸ばし、両手を鳥のように広げると、何とも気持ちのいい天気だ。


 そんな気持ちのいい晴天に後押しされて、私は雨がそれほど好きじゃない事にふと気づいた。


 天気予報、明日は雨らしい。

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