心得8:危険な場所に立ち止まるな

 これも当たり前のことで、心得3でも述べたことだが、事故を防ぐには当たり前の徹底が重要なのだ。

 加えて、交通安全的な観点で見た『危険な場所』が何なのか、パッと思いついて挙げられるだろうか?

 道路の真ん中? 車両の前と後ろ? 確かにそれも危険な場所だ。立ち止まってはいけない。だがそれだけではない。

 ここで挙げる危険な場所とは『交通事故にあった際に、損害を増幅しうる場所』である。

 例えば、交差点付近にある、膝丈のコンクリート製花壇の前。

 ここで交通事故にあうと、ゴツンとやられて背中を打つ程度で済む速度だったとしても、膝から下が車体と花壇に挟まれて潰され、まず間違いなく両足を膝下から切断することになる。

 このような場所が『危険な場所』である。

 他にも、とっさに飛び退くと3メートル下に転落するとか、網目状のフェンスに押し付けられて賽の目に刻まれるとか、車両が幅寄せしてくると塀の間に挟まれてすり下ろされるとか、挙げればキリがない。

 このような場所に長居することは避けるべきである。


 また、大型車両の近くは、基本的に危険地帯である。

 大型車両のタイヤには強い圧力がかかっていて、これが老朽化や外傷によって破裂した場合、そこから吹き出した空気はもはや爆風であり、破裂したタイヤの破片は殺傷力を持つ。

 これは空気充填作業中のデータだが、2020年には38件の事故が起きていて、うち2件は死亡事故である。

 タイヤ、特に大型のタイヤは、高圧ガスが充填された危険物であるということを、頭に入れておいてもらいたい。


 危険なのはタイヤだけではない。大型車両はどうして大型なのか? それはもちろん、大きな荷物、たくさんの荷物を運ぶためだ。

 大型車両は、これを周囲にばら撒く可能性を常に抱えている。

 荷台が空だったとしても、コンテナの横壁が倒れ込んでくるだけで、十分致命的なダメージを与えるだろう。

 ワイヤーなどでしっかり固定されていたとしても、ハンドル操作を誤った大型車が横っ腹を掠めた際に切断するとか、追突事故で限界を超える力がかかって切断するとか、荷崩れを起こす可能性はいくらでもある。

 ガス缶や石油、毒性のある薬品を積載していた場合などは、辺り一面地獄になることだろう。満載の板ガラスがいっせいに倒れ込んでくる様子など、想像したくもない。

 動物を積んでいる場合も怖い。体重が500キロあるような動物が、事故の衝撃でパニックに陥って飛び出して来るのは、まったく悪夢だ。


 このような恐れがある危険な場所で、立ち止まってはいけない。

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