第7話ハーヘンテイジ
青い屋根の主は言った。人間で年齢は60歳位。痩せて背中が少し曲がった男だった。
「あ、あ。もしかして、シーフィ=ランさん?話は聞いていますよ。お部屋の用意もね、してあります。屋根がオレンジの大きな館へ行ってみてください。そこにユンチャという女性の主人が居ますので。」
オレンジ屋根の主は言った。人間で年齢は50歳くらい。顔が丸いぽっちゃりとした女だった。
「あらあら、もしかして、シーフィ=ランさん?話は聞いてるよ。お部屋を用意したからどうぞ。2階の奥から2番目にある北側のお部屋よ。疲れたでしょう。ゆっくり休んでちょうだい。」
そうして娘は今、部屋の中に居る。
「…。」
居る。
「…。…………。」
…。
シーフィ=ランって、誰!?
ジフォルゼは暫し床に転がってもんどりを打った。
おそらく「シーフィ=ラン」とは、ジフォルゼがこの村に入居するにあたり用いられた偽名なのだろう。つまりジフォルゼは今後「シーフィ=ラン」と名乗らなければならない。全くなんと手際が良いのだろう。調査拠点まで用意されていて屋根付きの個室まであるなんて!
ハーヘンテイジ―――意味は「夕暮れの郷」。
木で作られた古いベッドは、ジフォルゼが腰掛けるとギィッと鳴った。マットはずっしりと重たく、弾力を失っていて少し埃っぽい。部屋には他に小さな洋服箪笥と、テーブルと椅子が1セットあるだけだった。洋服箪笥は扉の金具が錆びているのか開くのに苦労した。改めてぐるりと室内を見回し、最後に窓へ視線を留めた。
窓からはジフォルゼが潜ってきたハーヘンテイジの門と、エネルトラと別れた森が見える。門飾りが風に揺れている。2人で森の中を駆け回ったのが、もう随分前の事のようにも思えた。
ここから本当に1人なんだ。
太師は通信はできると言っていたが、どうするのだろう?手掛かりを求めて、ジフォルゼはリュックの中を探った。地図―――は違うだろうし、鏡―――は手を振ってみたが反応無し、下着類は元から選択肢から外した。あとは赤い革の手帳くらいなものだ。ジフォルゼは手帳を開いてみたが、何も書かれていない。調査のメモ用なのだろうな、と無造作にページをペラペラと捲った。
「ん?」
今、白紙のページに何か文字のようなものが見えた。ゆっくりページを遡っていく。丁度手帳の真ん中まで遡り―――見つけた。文字を見た途端、ジフォルゼは胸が熱くなるのを感じた。
太師の文字だ。
『無事に着いた?』
ジフォルゼは慌てて手帳に添え付けられていた鉛筆を取り出した。太師の文字が浮かんでいた左のページの右ページに、文字を書いてみる。
〝はい、到着しました。〟
文字を書いて数秒後。すると太師の文字が、スゥッとページに吸い込まれるようにして消えた。白紙に戻ったページを見つめていると、青い染みが浮かび上がってきて、やがて文字になる。
『通信は良好のようだね。』
すごい!続けて文字を書こうとすると、太師の文字が続く。
『自分の言葉を消すときは、文字の上を指で擦ってごらん。』
言われた通りに文字を擦ると、スゥッとページに溶けて消える。
『そう、そんな感じ。』
ジフォルゼの手帳と同じ反応が、太師の持つ端末にも行われているのだろう。まるで本当に会話をしているみたいだ。ジフォルゼは嬉しくなって鉛筆を走らせた。
〝ハーヘンテイジに到着して、用意して下さった部屋に入居が完了しました。ありがとうございます。〟
『それは良かった。部屋は快適?』
〝はい。〟
『匂わない?』
すこし間が開いた。〝いいえ。〟
太師の返事にも間が開いた。向こうで悟って笑っているのかもしれない。
『まずキミがする事は、ハーヘンテイジの暮らしを通して魔界の空気に慣れる事。天界とは違うだろうからね。身体に影響が出ちゃいけない。』
〝わかりました。空気が天界とは全く違ってビックリしました。〟
『違う?どんな風に?』
〝空気がとても濃いんです。重たくて、味がついているみたいに。〟
『へえ。』
〝暮らしに慣れたら…次はどうすれば?〟
『焦らない。何せ手探りの作業だからね。こちらもキミから情報を得ながら、指示を出すよ。』
〝はい。〟
少し間があった。
『怖くない?』
ジフォルゼは笑う。
〝全然。大丈夫です。〟
『そう。』
太師の文字がスゥッと消え、もう一度浮かび上がる。
『何でも良いから連絡しろって。ザオデュエルが。』
笑う。〝承知しました。〟
『それじゃ一旦通信を切るよ。疲れただろうから、ゆっくり休んで。』
〝はい。お休みなさい。太師さま〟
最後に浮かんできたのは、女の子がベッドで眠っているイラストだった。驚いた事にそれはジフォルゼだった。ジフォルゼがクスクス笑っている内にイラストは消え、また何も書かれていないページに戻ってしまった。それを確認して、手帳を閉じる。
ここから本当に1人だと思った。けれど、1人なんかじゃないんだな。
ジフォルゼは顔を緩めて、手帳を抱き締める。そのままベッドに横になって目を閉じた。
眩しい。ジフォルゼは目を開けて、顔を直撃している外からの明かりにまた目を閉じた。
少し休むつもりだったのだが、そのまま寝入ってしまったらしい。カーテンも閉めないで。ぐしゃぐしゃになったツインテールを解き、櫛で梳かし結び直す。服に皴が残らなかったのが幸いだった。軽く整えて部屋を出る。
廊下を出ると、すぐに良い匂いがした。もしや、朝ご飯だろうか。そういえば昨日は食べていない。僅かな期待を込めながら、廊下を渡り階段を下りる。
階段を下りると右手に玄関がある。左手に大部屋があるらしく匂いの出所もそちらだった。ジフォルゼは大部屋に向かおうとした。
トタタタッ!
軽い足音が聞こえてきた。1つ―――いや、2つ。すぐに大部屋から、2つの小さな姿が飛び出してきた。3歳くらいの男女―――双子だ。
双子はすぐに廊下のジフォルゼに気付いた。パッと微笑む。ジフォルゼも反射的にパッと微笑んだ。双子は大喜びでこちらに駆けてきた。なんて可愛らしいんだろう!ジフォルゼは迎えるべく身を屈めて両手を広げた。男の子の方がジフォルゼの腕に飛び込み
どむっ
小さな拳が鳩尾を打ち抜いた。ジフォルゼはそのまま両膝をつき、蹲った。
「サクタ!プルピア!―――まあ、シーフィさん!」
大部屋から出てきたユンチャが、廊下の悲劇に気付いて駆け寄ってきた。蹲ってもなお攻撃を続ける双子を払い除けて、ジフォルゼを起こす。
「大丈夫かい、シーフィさん!こら!サクタ!!プルピア!!」
「サクタ、なんにも、してないよ!」
「プルピアもしてない、よ!」
「何にもしてない事ないだろ!謝りなさい!」
「い、いえ…。お気になさらず…。」
「悪い事したら謝るんだ!ほら!」
ユンチャに叱られ、双子はシュンと肩を竦めた。上目遣いでジフォルゼを見上げる。
「ごめんねー。」
「ごめんねー。痛かったー?」
「ごめんなさい、だよ!」
「…ごめんなさい。」
双子は本格的に小さくなった。そんな様子にジフォルゼは眉を下げる。
「大丈夫です。もう怒ってないですよ。」
「ほんとー?」
「はい。本当です。」
双子はにっこりと笑顔を咲かせた。何故かジフォルゼの顔をぐちゃぐちゃにこねて、歓声を上げながら大部屋へ駆け戻っていった。
「サクタ!プルピアッ…っとに、もー。大丈夫かい?シーフィさん。」
「あ、ああ。大丈夫ですよ。」
「元気なのは良いんだけど、力加減ってものが分かってないんだから。」
「いえいえ。わたし鍛えてますので。」
子どもの拳があんなに効くとは思わなかった。
「そう?」ジフォルゼの言い方が面白かったのか、ユンチャは破顔した。「丁度朝ごはんの時間なんだけど、食べる?」
「良いんですか?」
「もちろんだよ。」
大部屋には、廊下側と窓側にそれぞれ3脚のテーブルが置かれていた。並ぶ椅子はテーブルに対して1脚か2脚。一番奥に調理場があった。
調理場に近いテーブルに座っていた双子が、ジフォルゼを手招く。
「こっち!」
「こっちこっち!」
双子以外は誰も居ないようだった。ジフォルゼは手招かれるまま歩み寄り、近くのテーブルから椅子を拝借して同じテーブルに着いた。
座りながらジフォルゼは思った。堕玉胤の言語能力は魔界の民にも通じている。もしかしたら通じないかも…と危惧したが、問題は無いようだ。目の前の彼らも、まさか目の前の人間が、全く違う世界からやって来たとは思いもしないだろう。
そもそも彼らはここが「魔界」という世界である事も、魔王という存在が居る事も、もう1つ世界がある事も知らないのだが。
…なんだか奇妙な気持ちだ。
目の前にパンがやってきた。
「うちは朝7時と昼12時、夜は19時に食事を作って出してる。時間に合わせて食堂に来てくれれば出来立てホヤホヤを食べれるし、余った食材は貯蔵庫の方に入れておくから、腹が減ったら好きに食べてくれて良い。自分で料理してくれても良いしね。ただし使った食器は戻す事。そして必ず水に浸けておく事。いい?」
「は、はい。」
「それと風呂場が食堂の向かいにあるから、適当に使っていいよ。入る時は入り口の札をひっくり返して赤の方を表にして、あと内側から鍵を忘れないようにね。洗濯もそこでできる。出しておいてくれたら私がやるから。」
手際よく料理を並べながらユンチャは説明する。最後にスープを置いて、ただしと付け加えた。
「ここには私やサクタとプルピア、それにシーフィ以外に3人暮らしてるんだけど、人の部屋に入っちゃいけないよ。それだけがここのルールだから。」
「分かりました。」
「以上が我が家の説明かな。さぁ食べて。まだ暖かいからね。」
頷いて食卓に視線を下したジフォルゼは驚いた。パンが2枚に目玉焼き、山盛りサラダにスープまでが勢ぞろいしている。
「こんなに頂いても良いんですか!?」
「え?多かった?」
「こんなに瑞々しいお野菜が山盛りになって…!輝きに満ちているではないですか!」
「朝採れだから、かな?」
「それにパンが、2枚!1枚でも恐縮です!!」
「朝は食べなくちゃ力でないよー?」
「こんなにぷっくりとした黄身の卵なんて」
「近所の人からもらったんだよ。ほらほらシーフィさん。」
ユンチャが軽く双子に視線を向ける。そこにはジフォルゼの真似をして「こんなに!」「こんなに!」とどひゃー!と驚いてみせる双子の姿があった。ジフォルゼは顔を赤くしながら、落ち着いた。パンを持ち上げて、齧る。
「…。」
涙が出た。
「え!?シーフィさん!?」
慌てて顔を抑えた。ジフォルゼは小声で謝りながら、片手で目元を抑えて顔を伏せた。
美味しい。
嚙んだ瞬間に芳醇な小麦の香りが溢れ出した。天界にだってパンはある。だがこんなに素材そのものが存在を主張はしなかった。生命力の違いは、こんなところにも表れているのだ。
父や皆に食べさせてあげたい。想いを堪えるように、パンを口の中に押し込んだ。
結局全てたいらげた。ジフォルゼは溜息を吐いて、食後の余韻にまったり浸っていた。―――すると、双子に捕まった。
「シーフィ遊ぼ!」
「遊ぼ遊ぼ!イエーイ!!」
あっという間に両手を拘束されて、外に引っ張り出されたのだった。
空は快晴だった。強い太陽の光に照らされて、崖の濃い影が集落に降りている。季節によっては完全に影に包まれてしまうんじゃないだろうか。崖の間にあるだけあって、吹く風が強い。潮の匂いが強いから、近くに海があるのかな…と思っているうちに双子タックルを受けて仰向けにひっくり返った。
「怪獣ごっこだ!」
「食べちゃうぞ、食べちゃうぞーうがー!!」
サクタとプルピアの双子は、とにかく人懐っこかった。初対面のジフォルゼにも、遠慮なしに文字通り飛びついてくる。なんて元気が良いんだろう!仮にも剣術の心得を持つ軍人のジフォルゼの体力を軽く凌駕し、あっさりと蹂躙し、挙句征服していった。1時間も経たぬ内にジフォルゼはヘロヘロになったが、双子は許してなどくれなかった。
前後からの同時タックルを受け、3人揃って地面にひっくり返った。流石の双子も疲れたのか、ジフォルゼの傍らでひっくり返ったまま、お腹で息をしている。攻撃の手が休んだのを良い事に、ジフォルゼも存分に休む事とした。
暖かい。なんて長閑で豊かに暮らしているのだろう。めいっぱい遊んで笑いあって、こんな暮らしがあるなんて、知らなかった。…天界にもかつてはこんな暮らしが、あったのだろうか…。
「―――……ん?」
ジフォルゼは徐ろに顎を上げた。頭をぐいっと反らして、胸を持ち上げ、頭の先を見上げた。
猫が居た。
ユンチャの屋敷から落ちる影の中に、猫が佇んでいた。赤茶毛の短毛で、片足を上げた状態で顔をこちらに向けながらピタリと止まっている。まるでジフォルゼと目が合ったせいで、動きを止めたような。
何故か―――猫と視線を外せなかった。
「んー?」プルピアがジフォルゼの視線の先に気付く。「あー!ねこー!」
「えー!ねぇこー!?」
瞬時にして元気を回復させた双子は飛び上がり、猫へ突進していった。猫はシュッと尾を振って屋敷の裏へ歩いていく。家に回り込んだ双子が、居なーい!居なーい!と探し回る声を上げた。ジフォルゼは体を反転させて上半身を上げ、じっと猫が居た場所を見つめていた。
綺麗な猫だった…。
ずしり。
サクタが背中に寄りかかる。ジフォルゼの肩に両手をブランと引っ掛けていた。
「サクタ、ねこ見えなかったー。」
「また会えるかもしれませんよ。」
「そぉー?」
「…多分。」
ずしり。
サクタの上からプルピアが乗っかったらしい。
「プルピアもー。ねこ見つけたかったー。」
「きっとまた会えます。」
「そぉー?」
「はい。」
あの猫は、ハーヘンテイジに住んでいる猫だろうか。ならどこかでまた会えるかもしれない。
…ずしり。
背中がより重くなった。耳元で寝息がする。…まさか。
「サクタ君。プルピアちゃん…こんな所で寝ちゃ駄目ですよ。おうちに戻ってから…と、ととっ!お、起きてくださーい!流石に2人分は…わっおっとと。おっとぉ!!」
敢え無く。双子の重みに潰されるジフォルゼだった。
眠った双子を抱えて戻ってきた戦士の雄々しい姿を見て、ユンチャは大爆笑だった。熟睡したがる双子を無理矢理起こして服を脱がし、3人揃ってお風呂に入り―――双子は何故か風呂で元気を爆発させ―――服も着ずに逃走しようとするのをタオルで捕まえて、服の中に押し込み、髪をようやく乾かし終えた頃には―――双子は完全に夢の中だった。
そしてジフォルゼも食堂で突っ伏していた。双子はユンチャが部屋に連れて行った。ようやく解放された後にどっと押し寄せた疲労感に、身体は抗えなかったのだった。そんな娘にマグカップが差し入れられる。
「お疲れさんだったねぇ。」
「いえ…とんでもない…。」
「あの子らも、全力で遊んでくれて嬉しかったんだと思うよ。私も歳だから、一番に自分の身体を考えなくちゃいけなくて、遊んであげられないしね」
「あれだけお孫さんの元気が良いと、大変ですよね。」
ユンチャが目を丸くした。ジフォルゼはきょとんとし、慌てた。
「ご、ごめんなさい。あの、お子さん、で…?」
ユンチャがふふっと笑った。顔を真っ青にしているジフォルゼに手を振るう。
「あの子らは私の血縁じゃないよ。」
「え?ではご両親もここに住んで?」
「いや。あの子らの家族は、あの子らだけさ。」
状況が掴めずに言葉を失っているジフォルゼを見つめて、ユンチャは眉を下げた。
「そっか、シーフィさんは何も知らずにここに来たんだね。」
「あ…、あの。わたしは、知人にここに行けと、言われて……。」
そうか、とユンチャは納得したように何度か頷いた。そうして徐に話し出す。
「ここはね、マコキュア国の中にある村だけど、別名「国捨て人の村」と呼ばれているんだよ。」
「「国捨て人の村」…?」
「色々な理由で自分の国に住めなくなった連中が、ここに流れ着いて、共同生活をしているのさ。マコキュア国の首長さんっていうのが変わり者でね。私らみたいなのでも、受け入れて住む土地を提供してくれるんだ。その代わり大した支援は無いけど、これ以上贅沢言ったら罰が当たる。」
突然突きつけられた情報に、返す言葉は見つからなかった。ユンチャは淡々と軽い口調で語ったが、それが逆に村の事実を重く知らしめる。国に住めなくなった―――国を捨てた―――そうせざるを得なかった理由があった。
「かくいう私もね、昔―――。」
「待ってください!」
語ろうとするユンチャを、ジフォルゼは止めていた。ユンチャが目を丸くしている。
「…ここに住む方がどのような過去を抱えているのか、知らなかった。…軽い気持ちで聞いてしまう訳には、参りません。」
〝なんて長閑で豊かに暮らしているんだろう〟
数分前、ジフォルゼはそう思った。何も考えずに、お気楽に、たった数時間の経験を持って、そう判断した。その軽率さが、身に伸し掛かる。
故郷を捨てる理由はいくつかある。疫病や飢餓―――そして、戦争や紛争、内戦などだ。そういう理由で故郷を捨て難民になった民を、天界でどれだけ見てきただろう。
突然、脳裏に行軍する兵士達の姿が蘇った。老人も若者も、皆顔が土色で、痩せていた。ただただ生きる為に僅かな希望に縋り、そしてジフォルゼに討ち滅ぼされた、軍隊を。
フフッ。
ユンチャが声を上げて笑い出す。分厚い手を伸ばして、ジフォルゼの肩をポンポン叩いた。
「昨日やって来た時から思ったけど、やっぱりシーフィさんは真面目なんだねぇ。すぐ昔話をしたがるっていうのも、年寄りの悪い癖かな。ありがとうね。」
「いえ。そんなつもりじゃ…」
「ただ、ここハーヘンテイジは「ゆっくり暮らす」って以外にルールは無いからね。気軽に、気楽に過ごしてくれれば良いから。何かあったら、私とか、村長のゲインに相談して。」
そうにっこり笑うと、ユンチャは台所へ戻っていった。
1人食堂に残されてから、マグカップを持ち上げて口に付ける。中は暖かい紅茶だった。
どうしてハーヘンテイジがジフォルゼの活動拠点なのか、解かった気がする。
ここでは、他者の素性を誰も問わないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます