第283話 始める者、深淵砕きて踏み出さん
遥か
そして現在、ある時滅びを迎えたとされるそれらの大半が
そんな
さらにそれは
それから長き時が経ち、遂にその力覚醒を余儀なくされた
現代から
人々はその教訓を活かし、決して再び争いに手を染めぬ覚悟で
それを起因とする戦いへ一つの結末が訪れる。
地上人の退化に起因する
機体を包むは紛う事なきヒヒイロカネの
それを纏いし
「力が……感じた事もない膨大な意思に想いが力になって、ライジングサンを包んでる! これが、
『出力上限は完全に振り切っているわ……! けど
「そうっす……ここからですよ
すでに異常なまでのエネルギー光の塊となる
だが
そのまま機体に満ちる膨大な
同時に光帯に包まれる守護神の一撃が、十分な損傷を刻めなかった先の威力を大きく上回る打撃へと昇華される。
『……っかぁ! いいぜアーガス・ファーマー! 勇者の力で、テメェの攻撃威力が増してやがる! そうだ、もっと俺様を窮地に追い込んでみせろ!!』
「この力……ライジングサンから流れ込んで来てるってのか!? それに
驚愕は打ち合う双方へと及び、だがそれでも圧倒的な霊的且つ物理的な勢力図は変わらず。
その勢力図を大きく塗り替える事になるのは――
『
「分かりました! ダブルチェイン・リアクションシステム、モードブレイズ……
『へへっ……いいぜ
二体の巨人が、そして三つの魂が黄金色を纏いて咆哮を上げる。
巨大なる虚神を穿つために、一つとなるために。
そして始まりの戦いは佳境へ――
赤き炎陽の巨人と赤銅の守護神が共に放つ、太陽系最強の格闘戦術が死中に活を見出す事となる。
》》》》
膨張を続けるデスブリンガー・アビス。
もう俺達の視界を壁の如く埋め尽くすそれは、
それを穿つための力が今、このライジングサン・ブレイズスターへ凝縮されて、生命の証を解き放つ瞬間を待ち詫びる。
けれどこれを放つためには、ただ拳に乗せるのではだめだ。
足りぬモノは理解してる。
俺に
『おおおおおおおおおっっ!!』
『はああああああああっっ!!』
呼吸が弾け、二体の巨人が放つデスブリンガー・アビスへのインパクトが重なって行く。
が――
「……まだ、だ! まだコンマ何秒のズレで、インパクトが弱い! 俺の拳と魂を、
言うまでもない事実。
この中で、戦場に於ける場数が一番少ないのは間違いなく俺自身。
平和ボケのなかでのうのうと、天才格闘家の賛美に酔い痴れてたどっかのボンボンとは訳が違う。
窮地で、さらには極限の戦いで如実になるのは、俺と二人との明らかな経験の差。
それを埋めずして、これより放つ最大最強・一撃必殺の奥義を奴へ叩き込む事なんて不可能だ。
『いいぜ、それだ! テメェら人類の生き足掻く力が、俺様を……くぉっ!? ……この、俺様を浸蝕して行きやがる! だがまだだ……その程度じゃブラックホールの持つ超重力の浸蝕を超えるこたぁできねぇぞ!』
マサカーより叩き付けられる歓喜と嘲笑。
それも人間が弱者へ吐くものなんて比べる事さえできない、大自然が人類へ向けて放つ純粋な憤怒にも似た啓示。
正しく今の俺達は、牙を剥いた大自然へ歯向かうちっぽけな存在でしかないんだ。
「一人一人はちっぽけだ! だからこそ人類は、あらゆる壁を超えて手を携えなけりゃならない! それが……それこそが
「この拳を、技を……魂をっ! 彼女が、力無き者を救うため振るい続けた暗殺術の極地へ! その瀬戸際紙一重で生み出される活かす御業へ、俺の全てを昇華させろっっ!!」
繰り出されるその御業へ、俺の拳を、魂を重ねて。
同時にアーガスとの呼吸を重ね、一撃一撃を極限の力へと――
『……ぬぅぐあああああっっーーー!!?』
刹那……三つの魂を重ねた極限のインパクトが、初めて巨大なる虚神の防御を抜き突き刺さった。
》》》》
その時
三人の格闘家が、二体の巨人を持ちて放った黄金の一撃が、虚神となったデスブリンガー・アビスの守りの壁を叩き割った。
だが、それでは終わらない……終わりを見るはずなどない。
そこからこそが、太陽系最強の勇者と守護神が見せる画竜点睛である。
『行きます、
もはや言葉も必要ない三つの魂は、その膨大なエネルギー放つ一撃を合図とし、さらにあらゆる全てを重ね合う。
防御を抜かれた
『……来るっ!!』
待ち侘びた瞬間へ歓喜と興奮が爆熱する狂気の拳は、それでも譲らぬと息巻き
今の今まで、二体の巨人が放つ恒星の如き衝突をエネルギー変換していた機体が、今度はそれを解き放つ様に膨張を開始。
深淵の虚神が二体の巨人の輝きと呼応する様に、体躯を大きく仰け反らせ、巨大な剛腕からの
「テメェら人類の飽くなき挑戦に免じて、これで最後の手打ちにしてやろう! 超えられるか、この
「来やがれ勇者、来やがれ戦狼! 人類のメサイヤたる真価を、この
ソシャールに匹敵する規模まで膨張する
そこより周囲のあらゆる素粒子を飲み込む、暗黒のエネルギーが解き放たれる。
超常にして膨大な力が、二体の巨人へ向け刹那の進撃をかけた。
しかしその巨人達の……
虚神がブラックホールならば、彼らは二つの恒星となりその攻撃を迎え撃つ。
『俺達の全てをこの一撃へ!
『ライジングサン・ブレイズスターと
三人の格闘家が魂を重ね合い、二体の巨人が紛う事なき恒星へと昇華。
さらにそれが一つの巨大な恒星へと融合するや、剛腕を一点へと集中して
そして――
宙域が膨大にして強烈、超常にして莫大なエネルギーの衝突で爆光の後……爆ぜた。
一つの凝縮された恒星と
戦域で打ち散らされた、無人自立兵装の残骸が
激突、激震……それが二つの巨大質量の相打つ最後の光景となる。
狂気の拳は目撃した、その身へ刻まれた傷を。
ソシャールに匹敵する巨躯の中心が貫通され、漏れ出たエネルギーが次々と対消滅反応と共にバラ撒かれ、
詰まる所の、勇者達の大勝利であった。
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