第280話 巨大な敵へ挑め、始まりの宇宙特殊自衛小隊!
あらゆる激突が宙域を焼き焦がす。
そんな中にあって、次々と無人起動兵装と艦体を吐き出す
だがそれを阻止すべく、すでに合流を果たした各部隊が、
『遅くなったわね、クリシャ!』
『よくぞここまで持ち堪えた!』
「はい! ですがあのマーズ・ウォー・アポカリプスを止めねば、アル・カンデが
『ならば、早急にあのデカブツを片付けねばならんな、ウォーロック大尉! サイガ少佐と
武装救命隊へ続々追いつく
そしてそこへ協力に駆け付けた、
加えて――
『これより我がクロノセイバー部隊による、マーズ・ウォー・アポカリプス完全破壊行動に移る! 現在キャリバーンは、フレスベルグとの戦いでかなりのエネルギーを消耗し、ダメージコントロールもままならない――』
『ならばここからは、合体融合艦ヤマトを旗艦とし、あのソシャール型文明殲滅兵装へと突撃する! ウォーロック特務大尉……君の出番だ!』
たった今、
だがその間も、立派に旗艦を任せられる船がその宙域には存在していた。
かの暁の大国に海軍が存在した時代、その名を非業の歴史へ埋もれさせてしまった、超ド級戦艦の名を賜りし者。
暁型第六兵装艦隊の融合艦であるヤマトである。
そしてそのヤマトを含めた
彼女へ向け、
後世で
『クリシャ……お前はもう、私の手を離れた。やって来い、この救世艦隊を率いて!』
「姉、様……! 了解です……これより融合旗艦ヤマト率いるクロノセイバーは、アル・カンデと文明社会を脅かす害悪を討伐に向かいます! 各員、我……クリシャ・ウォーロックに続けーーーっっ!!」
『『『『イエス、マム!!!』』』』
もはや何を語る事もないと、あのシャム・シャーロットが妹の背を押した。
かつては、救助隊が武装を備えるなど言語道断と切って捨てた姉は、彼女なりに前を向いて歩みだしていた。
今求められるのは、人類社会を脅かす恐るべき大量破壊兵器を止めるための武力持ちうる存在。
その全てを率いる役目とし、妹へ白羽の矢が立ったのだから。
されど、その胸には違えてはならない覚悟も
救いを体現する者が武力を振りかざす時、決して忘れてはならぬ命の重さと武器を構えるその意味を。
程なく、ソシャールサイズの巨大質量をターゲットに捉えた
並み居る無人の自立機動兵装に艦隊を、連携と、協力と、共に歩んだ絆を力に変えて屠って行く。
それらを視界に捉えた
スター・ディバイターへのエネルギー充填を開始。
狂気の力へ恍惚さえ浮かべる女……すでに深淵の闇に支配された、フランツィースカ・ボリスヴナが声を上げた。
『……キハハ、キアーッハハハ! 遅いぞ、遅い! もはやこれは止められない! スター・ディバイターは稼働準備に入った! 我がこれを撃ち放つ……ワレは……ワレハ――オロチ!!』
司令を飛ばす広大なオペレーションルームより響くは、すでに人の情念を失った闇。
深淵の闇が、言葉とも音声とも取れる狂気を
確かにその存在は口にした……己はオロチであると。
それは即ち、人類史上最悪最凶の巨大霊災と呼ばれた命の深淵、〈ヤマタノオロチ〉に他ならなかった。
》》》》
その存在は、地球地上の
しかし神代の存在からすれば、それこそ数億年単位の歴史で最も恐れられる、霊的な負の側面に於ける深淵を意味する。
数多の時代に、あらゆる霊的生命の……
悲しみを――
憎悪を――
憤怒を――
そして、この世に残したあらゆる未練を負へと導く者。
その存在が、それらを力に変えてあらゆる生命へ煉獄を招来するとされた。
それこそが、命の深淵〈ヤマタノオロチ〉である。
そこは生ける者、さらには死した者のあらゆる情念が、星の霊脈から切り離され堕ち行く最果てであるのだ。
「目標を捉えた! 各機散開、敵はソシャール規模の巨大質量を持つ! そこから来る、対空兵装の火力は常軌を逸するぞ!」
『ならば、その露払いは我らとグランディッタ殿が負う! ウォーロック大尉、貴官の決意と覚悟を見せつけてやれ!』
『なんなら私達も、負けてらんないわね! クリシャ……あっちからぞろぞろやって来るスーパフレームの無人機共は、メンフィス含めた私達に任せなさい!』
『キャリバーンはヤマトの後方支援に付く! 後ろの守りぐらいは、今の旗艦でも叶うからな!』
「はい!恩に来ます、皆さん! では行くぞ……ヤマトは主砲を前方へ一斉射! 武装機隊は私に続け!!」
だが、一般的な
そこへ無尽蔵に建造される自立機動艦隊の砲火も混じれば、もはや宙域は地獄を超えた極限地獄と化した。
それでも彼らはまっしぐらに、巨大な敵中枢を目指していた。
その進軍を許せば、故郷とそこに住まう避難中の民全ての命を失う事になるから。
『ウォーロック大尉! あの殲滅兵装中枢で、膨大なエネルギーの高まりを感知した! これは恐らく収束火線砲……それも文明殲滅を謳うだけの超々火力のエネルギー砲と見て間違いない!』
「そんな……それは差し詰めコロニー砲とでも言うのですか!? そんな物を放たれては、アル・カンデなど一撃で……! セイバーグロウは、このまま敵の中枢へ飛び込むぞ! ヤマトをエネルギー砲討伐へ向かわせるため、形振り構ってはいられない!」
進軍渦中、融合艦艦橋で
超巨大攻質量全体をスキャンした際、隠す必要もなしと曝け出された
さらにそれがエネルギー充填に入る状況……即ち、それを叩かねば宙域を煉獄で包む砲火が故郷へと向けられると同義である。
されどその破壊砲へ到達するまでには、今だ無数の護衛艦隊と対空砲火の嵐の様な弾幕が撒かれている。
実質
が――
『我らが誇り高き救世の部隊へ! 一撃程度ならば心配はおへん! ウチがこれより、アル・カンデの超広域防衛障壁を展開しますよって!』
「み、
後方の故郷より響くは、楽園管理者である
彼女もまた、この戦いで戦い続けていたのだ。
その声に続く様に、
『カカッ! よくぞ……よくぞこの戦況を導き出した! 我が誇りある救世の部隊よ! ここでワシが、後方でふんぞり返る訳にはいかぬからの! ワンビア……引っ張り出して来た重火線兵装はシステム良好か!?』
『はい、問題ないかと。ウォーロック特務大尉……僭越ながら、この皇子殿下の船である高速艦の本来の姿〈クラウン・ツァイレードストライカー〉にて支援、させて頂きます。』
「
『ウム、任されたぞ!!』
火星圏より大部隊の支援を引き連れた
彼が戦線へ正式に躍り出るは即ち、人類へ火急の事態が訪れた事を意味する。
『ああ、殿下がノリノリなのは頼もしい事だねぇ。では私も、ちょういとばかし本気を出そうかねぇ。今まで裏方ばかりで、ちと
「グラジオス准将、ではヤマトの護衛をお願いできますか!?」
『おや?それはまた豪気だねぇ。ヤマトを守りながらあの敵中枢へ飛び込めと……。いいねぇ、乗った。その点については任せて置くといいよ、マドモアゼル。』
すでに
ここぞとばかりに、突撃部隊へと合流して行く。
次々力を得て死中に活を見い出さんとする救世の志士達。
だが無情にも、それが討伐宙域へ到達を見る前に、
『キヒヒヒ……。ホロベ、セイメイ。ホロベ……ジンルイ。ディバイター……ウチハナテ。』
双眸が怪しく輝き、抑揚と感情すら消失した声が
副反応炉と思われる長大なニードル状の突起を八方へ広げ、その中心部から共振システムと思しき三対の砲塔が伸びて行く。
時を置かず、八方のニードル副反応炉から素粒子からなる無数の雷光が集束する様にバラ撒かれ、電磁波を伴うそれは中央の三対砲塔で眩い激光となり宙域を照らし出す。
『させはしまへんよって! アル・カンデ、アマテラス・システム再起動! 我が名……三神守護宗家は
同時に展開された
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