第273話 宇宙の武士道、超ド級戦艦の名を翳して舞え!
大戦最中と言う事もあり、未だ敵勢力が無尽蔵に生み出される戦場を後退するにはリスクがあると、敢えて戦線を上げる方向へとシフト。
必然的に学生達を戦場へ残す選択をしていた。
「学園理事長と子供達は、こちらで安全に保護する! このまま後退するには危険も伴うだろう……が、判断はウォーロック大尉へ任せる! 構わないな!?」
『了解です! 私も戦場がいかな状況かは理解しております! ですからセイバーグロウはこのまま前進し、
「いいだろう! セイバーグロウ現指揮官である、君の指示に従おう! オプチャリスカ殿も異存はないな!?」
『ええ、望む所です! 一般市民を乘せたままの前進ならば、否応でも死ぬわけにはいきませんからね!』
すでに
当然それに乗る算段である
さらにそこへ便乗する声が、別方向から敵の雑兵を木の葉の様に打ち払い飛ぶ機体より送られる。
『いいねぇ、そこに私も便乗させて頂こうかねぇ。いやはや、武装救命隊とは……この
「援軍感謝致します、准将閣下! では我らも、相応の心構えで望まねばなりませんな!」
そこには、かの火星圏が誇る武門の将である拳聖 フォックスが、小部族ソシャールで眠りについていた護法機体、
覚醒した弟子に感化された男が、戯けた准将の力強き援軍についていた。
それら援軍を見やる特務大尉は双眸を閉じ、静かに見開く
未だ無数の自立無人機動兵装を生む、
「これより我らセイバーグロウは、クロノセイバー各機がザガー・カルツ主力を抑えている間に敵の中枢を……あの巨大な殺戮兵装を止めに向かう! しかし現在、部隊内へ一般市民を抱える身であり――」
覚悟の咆哮。
が、それを
『き、君達!? ここは一般市民には危険だ! 艦内シェルターの方に――』
『すんません! でも俺達、いつかはこの部隊のどこかでお世話になる身っす!』
『そうです! それに私達は、
自称ライバルの良太が……そして泣き虫から覚醒を見たゆずが。
さらにはその友人達が、あろうことかブリッジへと押しかけていた。
されどもその意気込みを買う算段で、進軍の合図となる言葉を解き放った。
「すでに私達の後進であると言うなら、この戦いをしかと見届けなさい! 我らセイバーグロウの敵は、人類の生命と文化を脅かす巨大なる驚異! たった今より、それを打ち倒すための禁じられた武力を開放します!」
「
命を救う部隊には、大改修の時点で制限を掛けていた禁断の対武装勢力兵装が存在する。
それは開放と同時に、
かの蒼き大地で、世界最強の名を
》》》》
もともと艦艇母艦の姿を持つ
大改修の折、それを考慮した地上より上がった技術者である、サダハル・コーラル・マツダの意見具申により実現した、救命艦の
それはただの寄せ集めと言う訳ではなく、元来各艦へ分散させていた一般的な艦船の持つ戦闘機能を、合体融合により一つにする手段である。
時間的、改修物資的に見ても飛んだ性能向上が見込めないと判断した
「各艦、トランスフォーメーション! 隊列を合体機構連結に合わせ!
『ヴェールヌイ及びデカブリスト……両艦、ドッキングを確認しました! 各種連結機構を再チェック! 工藤中尉、全艦の指揮権を移譲します!』
「指揮権移譲を承認! 征くぞ……かの暁の国家で生まれた、英雄の名を頂く救いの艦達よ! 今だけは、そこに悪鬼を討ち滅ぼす超ド級戦艦の魂を宿せ! 艦隊融合合体〈航宙超ド級戦艦 大和〉……抜錨っ!!」
合体コード発動と同時に五隻が隊列を成す。
戦術武装を備える
それを挟み込む様に、ヴェールヌイとデカブリストが左右翼を形成する形で変形融合。
最終的に、五隻を繋ぐエネルギーライン等の連結を終えた所で、五隻分の機関総出力をエネルギー源とする主力兵装〈46センチ
〈オペレーション 大和〉の名を
「主力兵装、
程なく、合体によりド級戦艦となった
目標とされるは、言わずと知れた
三連装三門が生む
凄まじき光景も、すかさず視線を交わし合う特務大尉と猛将。
それを合図に、
続く
「これはこれは、なんと地球は暁の大国の誇る超ド級戦艦の名を持ち出すとは……。伝説に聞く海の武士道……差し詰め、宇宙の武士道と言うべきそれを翳すのが、かの工藤の名を継ぐ
不退転を
そして、その怒涛の快進撃を目前で繰り広げられる学園の武術部員達も、
「皆、いいか!? こんな危険な戦場で、あの
「だよな良太! んじゃ俺らも、負けてらんねぇよな!」
「あの時は……イクス・トリム救済の折は私も、見てる事しかできなかった! けど――」
「そうだよ
忌まわしき戦い渦中にも関わらず、心へ真っ直ぐな心根を築いて行く。
しかしそれを目にしてなお、心が汚れぬ子供達こそが人類の求める未来の希望である。
治療を終え、許可の元ブリッジの子供達を見守るために訪れた学園理事長も、憂いつつその希望をただ眩しく眺めていた。
光映らぬ眼ではなく高次元で。
そこで
「〔
未来ある子供達を引き連れ、
文明社会を殲滅せんとする、愚かな負の深淵に飲まれし人間の成れの果てを穿つために。
そして……ヒュビネット大戦はいよいよ、最後の佳境へと足を踏み入れて行く。
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