第212話 斎vs綾奈・翔子・アシュリーのラブバトル!
ライジングサン調整でコックピット内をあらかた弄り倒した俺は、外装部でも少々改装の必要があるスラスター各部打ち合わせと機体を降り、そこで鉢合わせた人に頭を
「えっと……なんでヴェシンカス軍曹がこんな所に? つか、アシュリーさんもなんでそんな不機嫌そうなんですか(汗)。さっきは
「翔子ちゃんに会うなり、そんな態度だから怒ってるのよ。……やるぞ、コラ。」
捻った所に出た言葉で、今度はアシュリーさんが不機嫌に。
そして耳元へ口を近付けるや、息のかかる距離で男モードのガチ殺し文句。
俺はときめいたらいいのやら、恐れ
可愛すぎるアシュリーさんの地獄送り待ったなしの形相へ困惑しつつ、軍曹を見やれば――
「あのっ! ウチでは大した事もでけへんやろうけど、良かったらその……
などと今度は、純粋にドキリとする上目遣いで見てくる通信手様。
うわうわ、アシュリーさんがなんか微妙な表情になってるよ――こわいこわい。
するとその光景に抗議も辞さぬ
「
「わーーわーー! リヴ様それは言わないでいいですって!? 元々男の私は、そこに組み込まれる意味なんてないんですから! 」
「アシュリー様もいけません! その様な性別の壁など、
「つまりはもっと押せ押せの、イケイケなのです! 」
「押せ押せのイケイケって(汗)それにしても、ププッ……。隊長、自分で
「あら〜〜。自業自爆だわ〜〜。」
ちょっと何言ってるんだか分からないリヴ嬢に、傍目で分かるほど紅潮してテンパるアシュリーさんと……驚愕の事実に行き着いた感じで目を見開くヴェシンカス軍曹。
少しカオス入りして来た現状打破のため、俺はそんな光景から目を背ける様に機体を見上げた。
「手始めに、お袋の設計で脚部へ集中するスラスター群をどうにかしたいな。
「大型高出力外部スラスターユニットは資材不足だし……。ならば格闘の動きの中心となる、腰部と肩部へ最小限の高機動スラスター移設一択か。よし! 」
ライジングサンは起動時点で、純粋な格闘機体の割に攻撃すると破損確立の高い脚部へ機動制御スラスターが集中していた。
それはお袋が親父と結託して準備した、俺搭乗前提の嫌らしい試練だってのは理解してる。
けどそれが任務上足技を中心に戦う
クオンさんとブルーライトニングの戦いを見ても、宇宙空間に於ける機動兵装戦闘はスラスター制御が全てなのは明らか。
そこで肝となるのは俺が自在に操れるようになった、ブレーン・スペース・フェイズドライブ……各姿勢制御スラスターの介入がなくても思うがままの機体制御が叶う力だ。
詰まる所――
俺が格闘戦で用いる方向の姿勢制御システム機構を潔く捨て……綾奈さんメイン搭乗を前提にしたスラスター制御システムを改修移設する。
お袋達は少なくとも、その程度は考慮した上で機体の拡張性を持たせていたんだ。
「じゃあヴェシンカス軍曹……いや、翔子ちゃんはライジングサン外郭部のスラスター装備移設改修を手伝ってほしい。ディスケスとマケディさんが主な仕事を熟してくれるから、その補佐を頼めるかな? 」
「しょ……翔子、ちゃん!? ひゃいっ! ウチが出来る事やったら、なんでもしたるけん!! 」
「お願いするっす。あとアシュリーさんは、
「ぬあっ!?
「……いや(汗)。それは、アシュリーさんが勝手に言ってるっす。頼んますよ?ほんとに。」
それぞれに必要な作業を依頼すれば共にテンパる様な返事を頂き、何故か満面の笑みへ移り変わったリヴ様を尻目に――
苦笑のまま、ライジングサンの外郭部改修へと着手して行く俺であった。
》》》》
急ピッチで進んで行くライジングサン改修も大詰めの頃。
けれどすでに軽食を頬張りながら作業を進めている、マケディチーフ率いる整備チームは改修継続の方向だ。
本当に彼らには、C・T・O時代から世話になりっぱなしだと頭が下がる思いだ。
「
「あら、ジーナちゃんがこれ作ったの? ふふ……ありがと。これなら安心して徹夜も叶うと言うものね。」
例によって例の如く、ウチの女性な男性三人娘を初めとする女性陣がテーブルを囲み――なぜかその中心に
「ところで
「……えっと(汗)。何かジーナさんに引っ張って来られたんすけど、お邪魔ならあっちのテーブルへ――いてぇっ!? 」
「少しは察しなさいな、このバカ
ジーナちゃんが使ってくれた気配りに感謝しつつ、相変わらずの
それをアワアワ見やる翔子ちゃんに、ニヤニヤ傍観しているリヴ様、カノエ、そしてエリュ。
これが今までの私ならば、察する事ができなかっただろう……けど――
「邪魔も何もないわ。両手に花どころかハーレム状態なんだから、少しは甲斐性をみせたらどうかしら? 」
己の感情の赴くままに言葉を述べた私。
すると、私の変化を想定していなかったであろう翔子ちゃんとアシュリーが目を見開いて、ジーナちゃんを中心に事をセッティングした面々は笑顔で顔を見合わせる。
もう彼女達が何を以って彼をここへ呼び寄せたかが、手に取る様に分かるわね。
私の言葉にも未だに朴念仁丸出しな勇者様を他所に、ジーナちゃん特性夜食を頂く事にした。
「ようやくジーナちゃんもここまでの料理を……空いた時間でよく頑張ったわ。ペティアのレシピも流石だけど、あなたの頑張りも大したものだわね。」
「えへへ……。これもアシュリーさんやペティアさんのおかげです! 」
「あの、
「あ……どうもっす。つか、翔子ちゃん?なぜにスプーンを俺の口まで――」
「だから察しろと言ってるでしょ、このおバカ! 」
カロリーを抑えつつ、
それを今では、クオンへの料理も板に付き始めたジーナちゃんが作り上げた、と。
何故かアシュリーがペラペラ喋るのは、視線がチラチラ向かう事にはどうも
するとそれを見た翔子ちゃんが、今はアレットがローナに代わり調整をする義手を巧みに操り、
眼前の展開に興奮したリヴ様が身を乗り出し、カノエ、エリュに加え、ジーナちゃんまでワクワク顔で傍観者を決め込む姿は一部男性が発狂すらしかねない――いえ、もう視界の端では
きっとローナも、今の彼らを見れば喜んでくれるだろう。
命懸けでこの部隊の明日を守り抜いたんだ、彼女は。
ソシャールの大規模崩壊は周辺宙域を巻き込み、場合によっては救助に当たっていた私達も、甚大な被害を覚悟しなければならなかったのだから。
だから彼女の死によって導かれた今を、悲しみに濡れたままで終わらせる訳にはいかない。
そしてこの手であのライジングサンを操る栄光を賜われるのなら、もう私は踏み止まる必要なんてないんだ。
「
「両手……って、一体なんの話っすか!? 俺にはさっぱり訳が――イてぇ!? 痛いっすアシュリーさん、さっきから! なぜここでまた殴って来るっすか!? 」
「ここまでされて分からんテメェには、ちょっとお灸が必要だな?オイ。」
「戻ってる!? 完全に男に戻ってるっすから!? 」
クスクスと、訪れた今を堪能しつつ視線を向けた先。
そこで私は、眼差しを感じた気がした。
赤く激しく輝く、期待に胸膨らます様な
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