第6話 舞い上がる太陽
侵攻する【ザガー・カルツ】――その対応に現状手詰まりなC・T・O軍指令部。
打開できないまま、指令である
そこへ、一つの通信――軍格納庫より発された報が、
「指令、格納庫から通信が……!
「……っ!戻ったかっ……!」
「内部C回線……、そちらに回します!」
新たなる、フレームパイロットのスカウトに向かっていた
「(ご苦労様……
状況にひとまず対応が出来る、その思いで
『すみません、
大尉にとっては、少々予定より早く交渉がなった事もあり、スカウトに要した時間の大幅な短縮を見たが、状況が暗転すればそれも水泡に帰す。
「うむ、非常にまずい状況だが……タイミングはギリギリ。よくやってくれた、大尉……!……
『……
『えっと……、話したらいいんスね……?』
そしてスカウトを終えた女性大尉に代わり、まだ学生服のままである高等部であろう学生がモニター前に立つ。
『……っと……、初めまして・・オレは
その学生の顔つきに、C・T・O軍指令はふと民間協力団体の理事長を思い起こす。
民間協力団体【フリーダム・ホープ・A・C】は、軍専門の設備や機械の多くを
C・T・O軍へ納入しており、軍指令とその理事長も定期的にではあるが面識を持っていた。
だが、だからといって
フレームに搭乗するという事は、確実に命の保障が出来ない場合が存在し、それを搭乗者に通告する義務がある。
パイロットを搭乗させる際にも、その者の意思を最優先すべきと、最低限の条件が定められる。
それもあくまで、最悪の事態に対応したものではあるが。
「私が、災害対策軍C・T・O指令を努める
『え……ああ……、全然オレはいいですけど……。』
少年も、先のスカウトに訪れた女性の過激っぷりから、場合によってはここの代表者もかなりの暴れ者かと推測していた様だが――何の事はない、なんとも礼節を
「すまない……、火急の事態ゆえ時間がおしい。後で改めて話す機会を設けよう……。」
「では――出撃準備に取り掛かる前に、一つ……確認したい……。」
それは火急の事態である――その中で、臨時ではあるがパイロットとして
「戦闘行為が発生する以上――安全が確実に保障されない状況は……、確実に存在する。……それでも……。」
「……霊装機
覚悟の無い者は自分は愚か――多くの犠牲までも呼び込んでしまう。
戦闘行為を前提とし、霊装機――
「ハイ……、オレは――」
その意も含めた指令の確認に――少年は、決意の言葉を放つ。
「
その決意に、指令を初めとするヤサカニ家当主を筆頭に、当の少年をスカウトした女性――
『了解した……!期待させて
「ハイ……!」
格納庫側、少年に必要な装備をチェックしながら、まずは関門一つクリアの女性が最大の関門――【ザガー・カルツ】という難所へ突撃するため、少年に準備を
「じゃあ、
「っと……ハイ、すぐ行きます!」
通常
この内部に敵が侵攻した今回はともかく、ソシャール内部での災害活動用に別ルートの発射カタパルトがあり、そこにこの格納庫も
その
だが、通常の
「
「遅くなりました!彼をロッカールームへ!」
「了解!」
すでに
いつでもパイロットが出撃出来る、完璧な流れは無論災害対策で
本来
そして主役となる少年は、新世代にして
その少年はすでに準備を終えた大尉
「準備はいいわね……?」
ロッカールームを抜け、直線的に通る通路から開けた広間に出る。
その広間から延びる左右の通路――それが囲む中央の大きく開けた、高さ50mはあろう巨大な空間が少年の前に姿を現す。
そこには無数の照明に照らされ、
まるで太陽を思わせる赤炎――高さにして18m以上を
「……
少年が学園で学んだ物は、災害対策用の
当然国家の機密事項に触れる事などありえない。
それ故、眼前に現れた物は認識の範囲を越えていた。
複雑ではあるが表面等凹凸の極めて少ない滑らかな外面。
「
その赤き機体――大尉が口にするその名は、本来起動予定にないための仮名称である――だが、それでもそこに霊的な力が宿る様な響き。
「これが、アルファ・フレームよ……!」
その外観から来る認識を越える様相は、当然コックピット内にまで及ぶ。
ブウーッン
機体の電源が入りモニターと思しき物が無数に現れる、が――
「……
操縦席と聞いて座席のあるコックピットを想像していた
目に飛び込んで来たのは、体を持たれかけるだけの謎の設備。
どうやら、パイロットスーツとの接合部と思われる箇所が多数、つまりはほぼ立ちっぱなしという所である。
「脳神経パルスを量子センサーで感知するシステム――
「パイロットの神経伝達、それに反応する筋繊維の収縮から来る微弱な電流。それらを瞬時に読み取り、フレームが追従するシステム。」
筋繊維の微弱な電流は、筋肉繊維が収縮する動きや筋力を発生させた時に発生する。
こと格闘家ともなれば普通の常人を上回る速度で反応する――それに対応する程のシステムである。
「君がパイロットに選ばれた理由……、なんとなく想像つかない?」
体の動きのなんたるかは、知識と実践で身体にしみこむ格闘少年にとって、かろうじて想像に至る知識領域だ。
「あ……、なるほど……。」
そんなやり取りの中――機体に同乗する大尉
そう――この機体に限らず
これは搭載機関や災害対策任務の関係上、一人がオペレーションを担当する、複座式マニピュレート・システムの側面もあるのだ。
そして、赤き機体のコンディションが指令部でモニタリングされ、全ての発進準備が整う。
「
「
「よしっ!【アル・カンデ】内部カタパルト起動――ゲート解放っ!」
格納庫から固定用ハンガーがレールで移動――そのまま傾斜しながら電磁カタパルトへ固定され発射体制に移る。
本来起動予定に無いため、緊急の射出システムで万全の出撃体制が取られた。
『【アル・カンデ】内部ゲート解放します!
全てが始めての格闘少年――初の出撃においては、仮として上官に相当する
「
『は……ハイ……!』
大口を叩いたものの、やはり予想を逸脱する機体の全容に、緊張がピークに達する格闘少年
だが、今そんな事で
その格闘少年――そしてそれをサポートする者
「
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