平凡から生まれた狂気

@tomaho4649

ぼくの家はごく平凡な一般家庭だ。

父がいて、母がいて、妹がいる。

父は幼稚園の頃にひらがなをたくさん教えてくれた、ぼくが漢字を教えてと言うと

「漢字は大人が使うから、子供のお前はまだ覚えなくていい」

父はそう言っていた。

母は打撲を作ったぼくに

「弱くてもいい、そのかわり優しく生きなさい」

そしてぼくは怪我をしている妹に

「ぼくが守ってあげるからね」

ぼくはそう言う。

やさしい日常だった。

しかしその日常は突然終わりを告げた。

大地震が起きた、地面が怒ったように揺れ、周りにあった家具は悲鳴をあげながら倒れ、

天井や床は板チョコのように割れた。

ぼくの目の前にあった全てのものが壊れた。

どこかでとびらの開く音がした。

ぼくは大きな声をあげて笑っていた。

全てのものが壊れた中で壊れていないものがあった。

ぼくは近くに落ちていた鉄の棒で残っていたもの全てを壊した。

家の中にはすでに壊れたものしか残っていない。

押入れを開けると怪我をした妹と母がいた。

「お父さんは?」

妹が不思議そうな顔をして聞いてきた。

僕と母はなにも言わなかった。

数日が過ぎて、自衛官の人から父の死が告げられた。

父は地震に殺された。




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