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 単位制高校では、定時制と通信制の二つで構成される。定時制は普通高校と同じように毎日通学を行う仕組みで、通信制は月二回学校に足を運べば許される制度だという。後者には更に、進学を目指すコースと、とにかく単位習得、つまり高校生卒業認定の取得を目的としたコースがある。

「部活動も活発に行われていますし、勉強面に関しても本気で取り組む生徒に対しては全面的にサポートをします。近くに予備校も設備されていますし、図書館もあります。何なら、この学校の学習室も使用してかまいません。朝九時から夜十時まで開放していますので、使いやすいと思います」

 柔和な笑顔で応対する男性の方は谷川といった。彼はここの高校を卒業した後、大学に進学し、またここへ教師として戻ってきたという。黒いスーツを身に纏い、僕とは違って気立ての良さそうな人である。

 谷川教諭から、同伴している母さんと共にここの高校の特色や大まかな仕組みの説明を受けていた。歩きながら教室を見るたびに、ここがどんな場所として使用するのか教えてくれた。入り組んだ廊下を何度も曲がりながら、自分と同じ年齢ぐらいの生徒と何度もすれ違う。その度に僕は少し怯むが、相手方はまったく気にしてない様子だ。この学校は私服登校が許可されており、制服の生徒は誰一人存在しない。髪も染められるので、皆の頭は金色や茶色で彩られている。


 ここの滝原高校に入ればもう、僕に対するいじめはなくなるのだろうか。以前なら畏怖することはないのだろうが、今となってはそれが最大の懸念材料だった。

 何より自分を情けなく思う。いじめに屈し、退学を選んだ自分を歯がゆく思う。

 自分としても大学には行きたかった。単位制高校という新たな場所で僕は上手く立ち回れるか分からないが、これ以上鬱屈した気分で毎日を過ごしたくはなかった。

 我が家の経済では予備校に通う出費は持ち合わせていない。ここで高校生としての資格を取りつつ傍らで、一人勉強に励まなければならない。でなければ、両親へ面と向かって話すことも自分の中の劣等感が許さず、周囲の視線が僕を嘲笑っているように思えるからだ。

 下唇を噛みながら僕は、この学校んも入学を決意した。

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