第4話
大変なことはその日の深夜に早くも始まった。
自分の物にしたばかりのゲームで散々遊んだ
うとうとし始めた頃だった。
ふーっ ふーっ
顔に何かがかかってきた。生ぬるい風だ。
「?」 占野は目を開けた。
紙のように真っ白な肌、何も映していないようなうつろな目、ぽかんと開いた口。
男とも女とも分からない人、いや、おそらく人「だったもの」が天井からぶら下がり、占野の顔に息を吹きかけ続けていた。
もちろん悲鳴をあげて逃げ出したいところだったが、声を出すことも、身体を動かすこともできなかった。金縛りだった。
どうすることもできないまま、朝日が昇り始めるまで人だったものに息を吹きかけられ続けた。
「すいません。昨日は言わなかったんですが、そちら深夜になると『出る』んです」
「すいませんじゃねーだろワレ! 言えやそういうことはよ!」
不動屋産屋の営業時間開始直後に電話をかけて真実を知った占野は大いにキレた。
それはもう、電話口で散々罵倒しまくった。
20分ほどしたところでとうとう酷い言葉のバリエーションも尽き果てたので、気を取り直して言った。
「まあとにかく、もうこんな家はいらないから、今からそっちにまた行って新しい家をもらうから、この家は返品な」
「いいえ、それはできませんよ」
「…は?」
「返してもらう、なんてことはできませんよ。だって、そちらのおうちはもう『あなた様の物』なんですから」
…あれ、もしかして一旦自分の物にした物は手放せないのか?
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