第2話

 占野しめのがある日ひょんなことから使えるようになった力は「『欲しい』と言った物をなんでも自分の物にできる」というものだった。


 能力を行使するには、欲しい物に対して一言「欲しい」と言うだけでいい。

 そうすると、その物は誰の所有物であっても「占野の物」と認識されるようになる。

 どんな高価な物であっても、どんなに大切な物であっても、占野に「欲しい」と言われたら、持ち主は途端にそれが占野の物である気がしてきて、占野に渡してしまう。

 ただし、生き物には無効である。人間やら動物やらに「俺、お前が『欲しい』」なんて口説き文句みたいなことをほざいて家に連れ帰ろうものなら、ただの誘拐犯として逮捕されるだけである。

 まあそれでも、大きなスケールで言うと占野は世界中に存在する生き物以外の万物全てを自分の所有物にできるようになったのである。

 どんな「ひょんなこと」があったらそんな力を得られるんだという疑問の声もあるだろうが、説明が難しいし説明できたとしても長ったらしくなりそうだし何よりその点は今回の話に関係ないので省くことにする。

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