35話 模擬試合とヒサ達連行される?


 クリス女騎士団の訓練内容に絶句したヒサは訓練を指導することにした。


「少し休憩!息を整えろ!これも訓練だからな!仕事中に息を整え無ければ、長い戦いの時続けられないぞ!楽をしようとするなよ。この世界!生きるか死ぬかだろうが!一瞬の事で死ぬぞ!だから訓練、特訓、とみんな頑張って生きているのだ!頑張れ!」


「「「「はい!」」」」


 (取り敢えず、女騎士団全員やる気出たな、良かった)


 と思っているとクリスが話しかけてきた。


「ヒサ殿!も、」


「なんだ?も?」


「模擬試合!してくれないだろうか」


「模擬試合ね〜。何でだ?」


「自分の強さを知りたい。どうだろう?ヒサ殿」


「良いだろう。クリスは疲れて無いのか?」


「私は大丈夫だ。」


「分かった。」


 了解をしたヒサはインベントリから木刀を出した。


「よし!かかってこい!」


「え?私は剣の勝負を望んだのだ!」


「ん?そうだぞ!ほら!かかってこい!」


「くそ!舐めやがって!死んでも知らないからな!」


 クリスの掛け声で模擬試合は始まった。


 クリスは素早い動きで剣を振って来たが、ヒサはふらりと躱し、木刀でクリスの腹を叩く。


「うげぇ!何だその木刀は!痛いぞ!鎧が凹んだぞ!」


「ん?ちょっと魔力を込めただけだぞ。真剣なら死んでたぞ?」


「もう終わりか?まだやるのか?」


「やる!とりゃあ!」


 ヒサは躱しながら、足を取って転ばしたりと小手を取って剣を落とさしたり、していた。


「どりゃあ!そりゃあ!このぉ!こんにゃろめ!」


 クリスの攻撃を躱しながら、ヒサは言った。


「なぁ。もう少し、女らしい声出せないのか?せっかく綺麗な顔をしてるのに、残念だぞ!」


 更にクリスの攻撃を躱し、すれ違いざまに背中を木刀で叩く。


 そしてヒサの言葉を聞いたクリスは


「ななななな、何を申すか!わわわわわたしが、綺麗だと申すのか!え!ヒサ殿!」


「ん?普通にしてたら綺麗だと思うがな?ん?ちがうのかなぁ?」


 ヒサの言葉を聞いたクリスは、真っ赤な顔で走って何処かに行ってしまった。


 だが、シルフィが何やら怖い感じでヒサに近付いてくる。


「ヒサ様!さっきのは何でしょう!クリスさんが綺麗とは、どういう事なのでしょうか?ねぇ?ねぇ?教えて下さる?ヒサ様?」


「ん?シルフィ?何を怒っているんだ?誰が見てもクリスは普通にしてたら綺麗だと思うが?違うのか?シルフィはもっと綺麗だがな。ウサミもワカバも可愛いぞ!」


「え?えっと、え?そそ、そういうことなら、い、いいでしょう。そう私は、もっと綺麗なのね。うふふっ、うふふっ、うふふふ♪」


「ウサミ可愛い?」


「ワカバも可愛い?」


「ああ。可愛いぞ。」


 ヒサの所に来たウサミが、さっきの”可愛い”と言った事にぴょんやにゃんも付けず、嬉しそうに聞いてきたから可愛いと言ったら、


「嬉しいぴょんぴょん!♪」


「嬉しいにゃんにゃん!♪」


 とても嬉しいそうにスキップしたり、二人でニマニマして、頷いて見たりとして、また今度はウサミとワカバが手を繋いでスキップしてクルクル廻っていた。


 それをクリス女騎士団達は不思議そうに見ているだけだった。


 そして今度はまた騒々しく、クリスがやって来た。


「た、た大変だ!伯爵令嬢様が攫われた!」


「騎士団は、直ちに捜索をする!今直ぐに伯爵邸を出るから準備しろ!直ぐだぞ!分かったか!」


「「「「はい!」」」」


 と騒々しく解散していくクリス女騎士団だった。


「済まない!ヒサ殿!今日はこれ迄だ!また依頼するかもだ!その時また宜しく頼む!では!さらば!」


 クリスは言うだけ言って、行ってしまった。


「伯爵令嬢ね〜。厄介そうだな。よし!帰ろう。」


「そうですね。厄介そうですね。ヒサ様がゴニョゴニョ…………」


「ん?なんか聞こえなかったがなんだ?」


「何でも有りませんわ。さぁ。帰りましょう。そうしましょう。」


「はーいぴょん!「はいにゃん!」」


 と言うわけでヒサ達は冒険者ギルドに行って、依頼完了報告をする事にした。


 帰ろうと伯爵邸門の方に歩いていくと騒々しく騎士が走っていたが何食わぬ顔で門に近付くと、騎士が走ってヒサ達に話しかけて来た!


「おい!貴様等何故ここにいる!怪しいな!ちょっとこっちで話しを聞かせろ!」


「ん?俺達は冒険者ギルドで依頼で来たんだ、ギルドカードで調べれば直ぐだろ、ほらカードマジックアイテムで調べろよ。みんなも出して。」


 ギルドカードを出して見たら、更に怒り出して来た。


「えーい!うるさい!来い!」


「どうするシルフィ?」


「大人しくした方が良いかもしれないわ。私達に非が無いもの」


「分かった行く」


「ふん!分かれば、良いのだ。下賤な平民が!」


(何だこいつ。貴族か?)


【ヒサ様。お早う御座います。そうですね。貴族の子弟です。兄や親の七光で育った為、傲慢なのですね。」


(ふーん。その攫われた、伯爵令嬢とやらは、どこにいるのか、理沙は分かるのか?)


【すいません。ステータスも見ていなければ、マーキングもして無いので、分かりません】


(そうか、ありがとう)


【いえいえ。どうも致しましてですよ。ヒサ様。寂しいので、会話いつでも待ってます。ハート。】


(分かった、分かった。ハートッて口でゆーな)


 そんなヒサと理沙で話している間に詰め所らしき所に連行されたヒサだった。

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