36話 強制連行と緊急依頼


 ヒサ達は名も知らぬ貴族に連行されて詰め所にいた。


「おい!貴様等が伯爵令嬢様を誘拐したんだろ?白状しろ!」


「だから無理でしょ。今ここに伯爵令嬢様はいないでしょ。だから、依頼で出来たのだからギルドカードやギルドを調べて下さいよ。」


「そんなの嘘に決まっているだろう!早く白状しろ!」


「えー!どうする?シルフィ?」


「私にも分かりませんわ。が私達ともう決め付けてしまっているわ。」


「早く白状しろ!お前らしかおらん!下賤なやつが!」


 傲慢な貴族の子弟に無理矢理罪を、押し付けられていると勢いよく、騎士がドアを開けた。


「キーライ様、目撃者がいて、犯人らしき者が街の外で見たらしいです!至急!捜索任務遂行せよと、伯爵閣下からの命令です!以上です!失礼します!」


 ヒサ達はジーっとキーライ様とやらを見る、ひたすら見る見ていると、何も無かったように、答えた。


「ん?何だお前ら、早く帰れ!お前らがいてもいい場所では無いのだ!即刻消えろ!」


 これは下手に口答えすると面倒だろうと思い素直に立ち去った。


「すいませーんしつれいしましたー」


 と棒読みで詰め所を後にした。


 伯爵邸の門番は煩くはあったが、すんなり通してくれたので、そのまま冒険者ギルドに行った。


 冒険者ギルドに着いたヒサ達は、やっと一息出来ると思っていた。


 受付に行くと早速依頼の報告をした。



「セーバーソードだが依頼を終わらせて来た。確認してくれ。ギルドカードだ」


「はい。お疲れ様でした。セーバーソード様。ヒサ様、確認します。えーとはい。確認出来ました。ギルドカードと金貨一枚です。大変お疲れ様でした。」


 労いの言葉と手早くギルドカードを、ヒサの手を触りながら受け取り、手早くギルドカードの確認を処理して、手早くギルドカードを受け渡す時も、やけにヒサの手を握り締めながら、ギルドカードと報酬を渡して、また労いの言葉を熱い目で、言ってきた。


「ねぇ!貴女!何をしているのかしら?ねぇ?ヒサ様の手から離しなさい!」


「えっ?なに?なんで」


 いきなりシルフィさんが怖い剣幕で受付嬢を尋問してからヒサの手から引き離した。


「ヒサ様大丈夫ですか?ヒサ様もヒサ様です!気安く他の女に触られ無いで下さい!お願いしますよ!」


「ですぴょん!「ですにゃん!」」


 ヒサは、何故他の女に触られたらいけないのか分からないが、今の女三人衆には素直に頷く方が身の為だろう思った。


「そ、そうだな。気を付けるよ」


「分かって貰えて嬉しいですわ!」


「嬉しいぴょん!「嬉しいにゃん」」


 ヒサは俺の選択は間違え無かったと思うヒサだった。



 帰ろうとしていると、受付奥から何やら騒々しく、ゴリラが人間になった人が出て来た。


「今から、伯爵閣下からの要請で伯爵令嬢捜索依頼が入った。これは、緊急依頼だ!ここにいる全員捜索に当たり、見つけ次第近くの騎士や街兵に報告しろ!これは、ギルドマスター命令だ!以上だ!」


「はぁ。一難去ってまた一難かぁ。俺の幸運はどうなった?まぁ、仕方が無いか。みんな行くぞ!確かもうこの街の冒険者は、強制的にギルドカードに依頼が入って来てるんだよな。」


 ヤル気が無いまま捜索に出るのだった。



 いざギルドを出るが疑問に思う事があった。


「なぁ。伯爵令嬢とやらが何故誘拐されたんだ!」


 ヒサの疑問にシルフィは、


「そうですね。伯爵の低迷か?没落か?身代金でしょうか。」


「なら貴族か、伯爵に恨み持つ者か、盗賊団じゃないのか?」


「そうですね。余り伯爵様の悪い噂を耳にした事無いですから、貴族が盗賊団に頼んだか、何処かの貴族の仕業なのかも知れないですね。」


「ふむふむ。なるほど。シルフィが居て良かった。」


「ありがとうございますわ。ヒサ様。運命ですからね。うふふっ」


「ウサミもいて良かったぴょん?」


「あっ、ワカバも居て良かったにゃん?」


 ヒサとシルフィが話しているのを聞いたウサミとワカバはヒサに抱き付きながら聞いてきた。


「あぁ、二人共いて良かったよ」


 と言って二人を撫でながら言った。


(うーん。理沙、盗賊団の場所は知らないか?)


【現在のマップでは表示されてませんね。行動範囲を広げ無ければ恐らく割り出せませんね。】


(そうか。この街の中には盗賊らしき者はいないのか?)


【えっと。いますね多分になりますが恐らくいます。】


(そこに案内してくれるか。何か分かるかもしれない)


【了解しました。では表示しますね。】


(ありがとう。)


「よし!決めた!街にいる盗賊に聞こう。」


 ヒサの宣言に疑問を持ったシルフィが言った。


「えっ?どうやってですか?」


「ご主人様の不思議パワーぴょん!」


「ウサちゃん!ご主人様の不思議パワーにゃんか?」


「違うぴょん!ご主人様の素敵パワーぴょん!」


「ウサちゃん分かんないにゃん!もっと詳しくにゃ!」


「ご主人様が格好良くて優しくて素敵パワーぴょん!」


「にゃ、にゃるほどにゃ!凄いにゃ!流石ご主人様にゃ!」


 ワカバよ。そんなんで納得するなって思うヒサだが、ここは黙って置こう。と思うヒサだがシルフィは多分納得しないだろう。


「シルフィ。いずれ話す。もう少し待っててくれ。」


「そう仰るなら待ちますわ。早く本当に信用、愛情と信頼を得たいと思いますわ。」




 ヒサもできる事なら話したいがまだ仲間システムに完全に取り込まれていないシルフィには、

 取り敢えず待って貰う事にした。

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