第5話 マンゴーの氷と豆花
さて、台湾熱病。
続いては台湾スイーツである。
余談になってしまうが何だか「スイーツ」と書くと負けて気になってしまう。何故「デザート」ではいけないのか。いや、もうよそう。「デザート」は死語になった。テレビにネット、ファミレスのメニューからも「デザート」の文字は消えた。最早我々が嬉々として口にした「デザート」は存在しない。世は「スイーツ」の時代なのだ。
閑話休題。
台湾が日本人の若い女性に大人気になった理由のひとつがこれである。かの国はスイーツ大国なのだ。
何しろ台湾では屋台などで酒を飲まないそうだ。酒はあまり市民権を持っていない。日本とは酒に対する考え方が違うらしい。では彼らは普段どうしているのか。屋台ではさっさと飯を食い、終わればさっさと席を立ち、そして別の屋台へハシゴする。食後のスイーツを食べるのだ。
今回はそんなスイーツを紹介する。
まあしかし、いきなり屋台というのもハードルが高い。そこで日本でも有名な店のスイーツを紹介する。
『ICE MONSTER』の「マンゴーかき氷」である。
ICE MONSTERはお馴染み地下鉄の國父記念館駅から歩いて五分くらいの場所にある。大通りにあるし割りかし目を惹く店なのですぐ分かる。
何しろ最近は東京や大阪にも出店している人気店でメディアにも頻繁に出てるが、イチ観光客としてここは台湾本店を抑えておかねばなるまい。
おまけにマンゴーと言えば台湾の特産品。常夏の国ならではのマンゴーたっぷりのかき氷を食べない手はない。
ICE MONSTER本店はお洒落な内装と流行りのBGMの鳴る店内がまるで原宿や渋谷にいる気分にさせてくれる。別に渋谷や原宿を持ち上げる訳ではないが、日本人の我々からしても「お洒落な店だなあ」と思わずにはいられない。
かき氷の味は言わずがな。美味い。
マンゴー味のついた氷にマンゴーのソース、マンゴーのシャーベット、極め付けに果肉たっぷりのマンゴーがどっさりのっている。
値段は日本円で千円くらいだが、このボリュームなら安いと思ってしまう。何しろ大の大人が二人がかりでやっとである。まあかき氷なんてそんなに沢山食べれる物でもなし。二人で一つで十分だ。
ここの店にはルールがあって、一人当たり「100NT$(役400円)」は注文しなくてはならない。勘違いし易いので補足するが、これは「お一人様一品のご注文で」システムとは違う。
例えば二人で頼んだ物の合計が200NT$以上であればオーケイなのだ。初めて行く人間は間違い易いので注意して欲しい。
もう一つ。注意しなければならないのは店内の温度だ。驚愕して震えるほど寒い。なおかつかき氷をたらふく食べている。途中から罰ゲームをやってのかと思うほど寒い。外との温度差に注意だ。
店内には暖かいセルフの飲み物もあるが、お茶ではなく「お湯」なのでこれも覚えておくといい。
サービスに関しては「?」な部分もあるが、観光地の有名店というのは、どこも少なからず「?」が浮かぶものなのでそこも含めての観光だと思っていけばいいだろう。その方が楽しめる。
もう一つは正真正銘の屋台スイーツ。
「豆花」だ。
「豆花」は割りかしどこでも売っているし、専門店もあるが味と見ため的に屋台でも抵抗が少ないので「豆花」をチョイスしてみた。
冷たいのと暖かいのがあるが、常夏で屋台で食べるなら間違いなく冷たいのだろう。
豆腐と豆乳の間の様な物体に甘みのあるシロップをかける。これがデフォルトの豆花だが大概はトッピングを加える。小豆やタピオカ、ピーナッツや緑豆も。とにかく様々な物を好き好きにトッピングするのだが全てのトッピングに共通しているのは「素朴さ」という事だ。全てにおいて素朴なのだ。強烈に甘いとかコッテリしてるとかそういう物とは縁遠い。柔らかい豆腐を優しい甘さのシロップと一緒にすする。ピーナッツをトッピングすればポリポリとした食感も楽しめる。
最初はスターバックスの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいくらいに物足りないが、何度か味わってくると身体に優しい甘さがクセになってくる。
私が初めてトライしたのは例の胡椒餅のある饒河街夜市である。
額に汗をかきながらスチールの椅子に座り、ネオンや電線を眺めながら異国語の飛び交う街中で豆花をすくう。
夜風に混じって他の屋台の
異国にいる事を実感できる瞬間だ。
ニューヨークでスターバックスのフラペチーノを飲んでみるのも良いが、臭豆腐の臭いが立ち込める台湾の夜市で素朴な味の豆花をすするのも悪くない。
台湾の夜は、やはり夜市に限る。
それではまた。
再見。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます