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「あなたが、王宮魔術師長候補のフリードですか」
魔術師に興味を持っている、という王妃クレアが王宮魔術師の研究施設を訪ねてきた。
その姿を見て、フリードの身体は喜びに震えた。王妃クレアに会えたからではない。その腹の中に強い薔薇の魔力が宿っていたからである。以前、クレアの姿を見た時には感じなかった。
つまり、魔力がクレアの中に新たに宿ったのだ。
「クレア王妃、近々お祝いの席に王宮魔術師長として同席することと思います。どうかお見知りおきを」
生まれてくる、フリードが諦めていた夢を叶えてくれる命が。
神の領域だと言われた禁術を実現可能にしてくれる存在がもうじきに生まれてくる。
(すべての準備を整えなければ……)
王宮魔術師長になり、すべての人間を従える。魔術師だけでなく、王族も、国民も、フリードの夢を叶えるための道具にする。
フリードの心は固まった。
そして半年後、第一王女フェリシア・シェルメゾーレが誕生した。
その祝いの席で、フリードは王宮魔術師長として言葉を紡いだ。
『この子は、呪われている。いずれこの国を破滅に導くだろう』
フリードのリアトルに近づくための計画が動き出した瞬間だった。
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