しゃべり方が可愛い猫のオーナーがいる料理店は、食材持参の不思議な料理店。
ゼンマイとネジを卵で包んでオムライスに、黄色い風船を甘いプリンに、それは食べ物じゃないでしょうというものを素敵な献立へと調理してくれます。
オムニバス形式のお話はどれも描写が丁寧で美味しそうなのですが、私のお気に入りは「異世界旅行のミルフィーユ」と「救世主さまはぐちゃぐちゃ」の二つです。この二つは主人公が共通していて、それが心地の良い読後感を与えてくれます。
特に「救世主さまはぐちゃぐちゃ」はタイトルの危ない感じに反してとても優しい味わいのお話で、すごくお腹がすきました…。
「幻想粗餐」もこちらも、どちらもとても面白かったです!
『どんなものでも調理する。ここは【幻想料理店】』
オーナー兼料理長は猫。しかし、頭は被り物。ですが、とても優しいお方です。
美しい薔薇頭の給仕たちや、各話で登場するお客様たちは超が付くほど個性豊か。
さらに後半から登場する子鼠ちゃんも、愛らしくとってもキュートです!
そして、なんといっても見どころは、オーナーが作る絶品の料理たち!
調理工程から味わうまで、五感を刺激する言葉たちに、うっとり魅せられてしまいました。
基本一話完結の物語であり、一話の分量は長めと感じるかもしれません。
けどそれは、行列に並んででも頂きたい名店のよう。
物語を楽しんでいるうちにやってくる、オーナーの見事な調理、そして出来た料理を味わい尽くせば、また2度3度と足を運んでしまいたくなります。
不思議な世界で、不思議なキャラたちか作る、優しく可笑しく美味しい物語。
ぜひ一度、ご賞味くださいませ!