3#白い巨大ヒグマ?!

 「あら?目覚め?」


 割れたビーチボールの中から飛び出してきた、白い巨大クマは肌色の鼻のヒクヒクさせて、クンカクンカと周りの匂いを嗅いだ。


 「く・・・」


 「クマ!!」


 「シロクマだーーー!!」



 「あ、わんこ!!あたしは『ホッキョクグマ』ぢゃないわよー!!白い毛のヒグマよ!!」



 「ヒグマぁぁぁあーーーー!!」


 「何で此処にヒグマがぁぁあ!!」


 「ヒグマは北の国に要るのにぃぃ?!」


 3匹の猟犬は、一斉に腰を抜かした。


 「セルパぁ?!『あれ』出来る?」「あれってなんだよ?!」「絶・天狼抜●牙・・・」「俺は奥●の犬じゃねえ!!ポチ!」「あ、俺は●羽の犬達に面識がありまぁす!!」「マジか?!オム!!」「トモダチのトモダチが。」「ズコー!!紛らわしいこと言うなよぉ!!」


 3匹の猟犬達は、お互い抱き締めあってビクビク震えながら口走っていた。


 「ダイジョーブよ!!3匹のわんこ。

 あたしは犬なんか襲わないからぁ。赤カ●トさんじゃあるまいし。最も私は白いクマだけどねー。」


 白いクマは、大きな逞しい前肢を3匹の猟犬の肩に乗せた。


きらりーん。


 「しええええ!!鋭い爪ぇ!!」


  3匹の猟犬は卒倒した。


 「あら、ごめんねーー!!よっこらしょ!!」


 白いクマは、持参のリュックの中身をゴソゴソと探ると、小さなくす玉を掲げた。


 「パンパカパーーーーン!!」


 白いクマは、くす玉の紐をぽすっ!!と引くとくす玉が割れ、3匹の猟犬の頭に紙吹雪が舞った。


 「あんた達!!おめでとーーー!!ドンドンドンドン!!パフ!!パフ!!」


 「な、何がしたいのよ?クマさんは?」


 身体中を紙吹雪だらけのポチが聞いた。


 「あんた達は、約1億匹の猟犬のうちの幸運な3匹に選ばれ出したーーー!!

 わたし、魔法の白いクマのパァンがあんた達を『風船の命の国』にご招待しまーす!!」


 「えーーーーー!!」


 「なにそれーーー!!」


 「俺達、御主人様を待たせてるんだけどーー!!」


 激しく困惑する3匹の猟犬達を尻目に、白い巨大クマはまたリュックからゴソゴソと漁ると、萎んだ巨大風船を取り出して大きく息を吸い込むと、お腹に渾身の力を込めて口に巨大風船の吹き口を加えて、



 ぷぅーーーーーーーーーっ!!


 ぷぅーーーーーーーーーっ!!


 ぷぅーーーーーーーーーっ!!


 ぷぅーーーーーーーーーっ!!




 と、頬を顔が何倍にも腫れぼったくなる位にめいいっぱいはらませて顔を真っ赤にして透明な巨大風船を大きく大きく息を吹き込んで膨らませた。


 「わーーーわーーーーわーーーー割れちゃう!!」


 垂れ下がった耳を必死に塞いで、ビーグルのセルパが走り回って大騒ぎした。


 「本当、セルパは風船が割れる音が苦手だよなあ!!」


 「ポチぃ!!あんたも耳を塞いでるくせにぃ!!」


 「俺は風船が割れる音大好きだぜ!!風船を爪や牙でパンクさせるのヤミツキさ!!あーー風船割りてえ!!」


 「オムぅ。すげえ目が輝いてるぜ!!相当風船が大好きなんだなあ。」


 

 「ふう・・・このぐらい膨らめばいいかな。」


 白いクマは、巨大風船の吹き口を口から離した。


 「見ろよ。風船の吹き口にクマの涎がでろ~んと。」まだ耳を塞いでるセルパがおどろおどろしく言った。


 「さあ!!この私が膨らませたこの風船の中に入ってー!!」


 白いクマは、ばっ!!と巨大風船の吹き口を力ずくで広げた。



 ぶおーーーー!!



 「しまった!!せっかくパツンパツンに大きくしたのに!!マサカミマクマサカミマク、風船萎むなぁ!!えいっ。」


 白いクマは呪文を唱えた。


 「これでよし。さあ、入った入った!!」


 「えーーーっ?!クマの涎が・・・」


 セルパは躊躇した。 


 「セルパっ!!ツベコベ言わずに風船に入るんだよ!!」


 「解ったよポチぃ。うぐっ!!獣臭っ!!」


 ビーグルのセルパは渋々風船の中に入り、次にポインターのポチ。最後にはポインターのオムが風船の中にスキップしながら入った。


 「皆!風船の中入ったねっ!!風船に爪を立てないでね!爪を立てたり噛みついたら即あんたの命の保障ないからねーーー。」


 白いクマはそういうと、



 ぷぅーーーーーーーーーっ!!


 ぷぅーーーーーーーーーっ!!



 と、風船に息を吹き込んで、萎んだ分の空気を足した。


 「うわーーっ!!獣と吐息がぶぉーっ!!と!!きもーーー!!」


 「お前も獣じゃん。セルパ。」


 キュッ。


 「これでよし。」


 白いクマは3匹の猟犬が入った透明な巨大風船の吹き口に栓をすると、またリュックからゴソゴソと漁って今度はクマを型どった大きめのゴム風船を取り出して、息を吸い込んで吸い込んで吸い込んで吸い込んで吸い込んで吸い込んで・・・白いクマのお腹自体が風船みたいに膨らんだと思うと、



 ぷぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!



 と、頬っぺたを顔が2つ増えたかと思うくらいはらませて、思いっっっきり一息で、白いクマがスッポリ入る位に大きく大きく大きく大きく膨らませ、リュックを担いで吹き口を開いて風船の中に入った。


 「よーーーーーし!!これからあたしがスンバラシイ場所へあんたらを連れていってやるからねえーーー!!」


 「はぁーーーい。」


 クマの形の巨大風船の吹き口を風船の中で持った白いクマの言葉に、3匹の猟犬達は低調に答えた。


 「マサカミマクマサカミマク、あたしが膨らませた風船達よ、『あの場所』へあたしと3匹の猟犬達を連れていって。」


 白いクマは呪文を唱えると、2つの巨大風船はふうわりと空高く舞い上がっていった。


 「うわーーー!!御主人様ぁーーー!!御主人様があんなに小さくぅ!!」


 「こ、この白い怪しいクマ・・・吐息がヘリウムガスなの?」


 「し、知らんがなぁ。」


 

  


 





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