第27話 温泉

「お、お風呂ですってー!?何わからないこと言ってんのよ!」


「いやあれだよ、普通の露天風呂だって、、、はっはーん、さては混浴風呂を予想してたか?残念でしたさやちゃん〜」


「あきら、あなたトコトンムカつくわね、またグーで殴ってあげましょうか!?」


「ははは、それはご勘弁をっと、ジンは鼻血まみれでいけないみたいだし、いつもの5人で行くとするか」


「おい、ちょっと待て!誰がいかないといった?このジン様も一緒について行ってやらあ」


ジンが湧いて出てくる。


「俺、鼻血風呂には入りたくないぜ、なあ発情期男子」


「誰が発情期ダゴラ!あれだ、お前だけだとりかやさやにエロいことをしそうだからな。俺もついてくるしかあるまい!」


「あ、ちなみに混浴風呂じゃないぞ」


な、なにぃ!?」


「やーい発情期〜」


「だ、黙れぃ!」



俺たちは銭湯についた。男子は男子風呂へ、女子と俺は女風呂へと向かう。


「あのさ…カツラつければ誤魔化せるとでも思ってるの?」


「さやさんさやさん。でもあきらくんカツラつけると美少女に見えますよ…」


「た、たしかに。前見たときからそう思ってたけど、なんかムカつくわ」


「ではお邪魔しまーす」といったところでさやとりかに出てけー!と追い払われる。

酷いなぁ、もう少し優しくしてほしいな〜。


仕方がなく男子風呂に入る。見えるのは男のナウい部分と爺さんの玉金袋ばかりだ。

色気が足りねぇ…カツラをつけたまま男子風呂に入ると「こらーここは女の子が入っていい場所じゃないぞ〜!」と怒られた。仕方がなくカツラを外す。


「おい、まさと。また筋肉がついたんじゃないか?」

きょうすけが面白そうに言う。

「ははは、俺の筋肉は年中ガッチムチだぜぇ!筋肉〜筋肉が通りまーす」


まさとは露天風呂のドアを開け風呂に入る。


「おい、ジン。まだ鼻血止まらないのか…」

きょうすけが心配そうに言う。

「なんのこれしき…俺はまだ倒れるわけには…」


「りかがお前と一緒にサウナー入りたいってさ」


プシャー。2度目の鼻血噴射!キタコレキタコレ。

そのままジンはニヤけ顏でその場にぶっ倒れた。

歯止めが利かなくなると男はここまで惨めになるものなのか。


「あきら、俺はジンを連れて休ませてくるから、お前は先に風呂入ってろ」


「ああ、分かった」


きょうすけは興奮したジンを連れて暖簾から出る。仕方がない俺は風呂入っていくか。…やはり混浴風呂の方がよかったかな…。だがたまには何も縛られず風呂でのんびりするのも悪くないな。肩まで湯に浸かる。全身の疲れが取れる。テレビでは風呂に入ると体が余計に疲れるという一節もあったが、にわかに信じがたい。

体を洗い始める。全身を洗ってシャンプーを流し、後は湯船に浸かって出るだけだ。


「待たせたな」


声をかけてきたのはジンだった。


「どうした、もう興奮状態が治まったのか?」


「余計なお世話だ」


…沈黙が続く。人と話すネタがなかなか思いつかないというのもあったが、何より風呂入っているときはゆっくりしていたいという気持ちがあったからだ。


「お前変態なんだよな?」


「興奮して鼻血を吹き出すお前ほどじゃないぞ」


ジンは湯船に顔面をつけ、また上げる。


「俺のことはともかくだ。お前さやとはどんな付き合い方してんだ?」


「どんなってか!?そんなこと聞いていいのかい?」


「真面目に頼む」


「そうだなぁ、あれだ。難しいことは考えてないさ。ただそのときそのとき思ったことや思いついたことを形にしてるだけさ」


「俺はなんだか告白はできたんだがそのあとどうすればいいか分からないんだ、どう進めばいいか分からないんだ。どうすればいいか教えてくれないか?」


「ジンよ、それはお前自身が考えることではないか?」


「きょうすけ…」


「何をすればいいかわからないから進めない。なら当たって砕けろだ。あきらなんていつもアタックチャンスしてるだろう。ウジウジと悩むくらいならいっそ砕けてしまえばいい。その程度で壊れる絆ならその程度だし、その過程で愛は築かれるものではないか?」


「きょうすけ…ああ、俺も今分かった気がするぜ!ありがとう」


「ふっ、礼には及ばんさ。俺はただ迷える子羊を導いただけさ」


俺は話を終え、風呂場から出た。


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