第24話 夢世界

バスの交通事故で意識を失ったあいつは病院にいた。

俺たちもしょっちゅう面会に来るなり目を覚ませと何度も訴えかけた。


それは突然やってきた。ジョーカーズの一員だったあきらは事故にあったその日から病室で横になっていた。


やつの恋人だったさやは特に心配して、やつの見舞いに何度も行ったが目を覚ます様子はない。医師が言うには仮に目を覚ましたとしても、記憶を全て失ってしまうそうだ。あまりに過酷な現実だ。


恋人であるさやが一番傷つくだろうか、いや最終的に一番辛いのはあきらだ。突然でなんだが、魔法って皆は信じられるだろうか?非科学的でどんな願い事でも叶えてしまうあれだ。


俺は伝説の木下で願った。どうかあきらを救ってください!と。

すると桜の木となり、その瞬間、俺は魂と魂が行き交う世界、意識と意識が作り出す幻想の世界を生み出す魔法の力を得た。


その瞬間俺、きょうすけは考えた。失ってしまう記憶の代わりにこの世界での思い出という名の記憶をあきらに持ってもらおうって。


バスの交通事故が起こる前の世界、つまりジョーカーズの仲間たちが全員揃う前の世界だ。ジョーカーズの仲間たちは現実の夢を見ている時にその世界の一員として存在していることになっている。この世界と夢世界の時間系列や時間の進み方は違う。俺たちはジョーカーズの仲間たちとともにあきらの記憶を作る。それが我らジョーカーズのミッションだ!


だからあきら。頼む。目を覚ましてくれ。でないと俺たちは一つになれないんだ。



夢世界で目を覚ます。


「よぉ、あきら。元気にしてっか?」


「きょうすけか、最近お前元気ないな。あ、さてはまだ彼女ができなくて寂しいんだろ」


「ははは、痛いところを突いてくるな、お前は。そんなんじゃねえよ、最近学力テストデュエルが大変だから寝る暇がないんだよ」


「へえーSSクラスのきょうすけでも苦戦してるんだな」


「まあな、相手もみんなSSクラスだから勝つのは楽じゃないんだよ」


よっと、俺は席から立ち上がる。


テストか…。現実でもテストあるからこれで2度手間だな…。

俺は自分の部屋に戻り眠りにつく。夢世界での眠りは現実世界の目覚めとなる。

俺を除いて他の人間はこの夢世界での記憶をなくすため、みんなの現実世界に影響はでない。


そしてまた「目を覚ませ」と伝える。









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