第20話 パートりか
私、りかは夜中の校舎を歩いてる。ジンくんと一緒に。普段はストーカーのようにつきまとう彼がこういう時は頼もしく見える。
「りか、お前のことが好きだ!」
前言撤回。やっぱり彼はこういう時でもしつこい。
「なんで私なの?」
ふと出てきた言葉がそれだった。なぜそんなにしつこく私を好きというかが分からなかった。
「なんでってそれは好きだからに決まって…」
「そんなこと聞きたいんじゃないの!」
「りか…?」
「あなたはなぜ私だけに好きっていうの?他にも可愛い子はいるし、さやさんだって私よりもずっと美人で…」
「そんなんじゃねえよ」
「え?」
人魂が浮かぶ。本来なら驚く場面だが、今の私には気にならなかった。
「好きって感情に理由なんてないさ。ただ一緒にいたいっていう気持ちが強くなってそれが膨らんだ時、好きになるんじゃないのか?」
「…」
誰かが肩をポンポンと叩く。振り向くとそこにはがいこつの標本の姿があったが、今の私には気にならなかった。
「じゃあ、ジンくんはずっと一緒に私といたいって思ってるの?」
「ああ、もちろんさ」
「私お弁当とか作ってあげられないよ」
「構わないさ」
「私、話してても楽しくないよ」
「構わないさ」
「私、Hなこととかしてあげれないよ」
「か、構わないさ…」
「動揺してる?」
「してねぇよ!」
「あはははは」
二人一緒に笑う。こういう時はジンくんと一緒にいて楽しいと思える。
「じゃあ、行こ。一緒に出られたら私もジンくんと一緒にいていいよ」
「え、本当に?」
「嘘です」
「ええ…」
「冗談です」
ニコッとして手をつないでジンくんと歩き出す。
「きゃー!」
がいこつの標本と人魂にびっくりして声を上げる。
「なにこれなにこれ!いやー!」
「りかのやつおばけ苦手だったのか…」
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