第16話 愛の試練

「なあ、あきらよ、ちょっと聞いてくれよ」


「なんだジンか…。どったの?またりかさんに振られたのか?」


ジンはいつになく真剣な表情である。


「それな。お前の言う通りまたりかに振られたんだよ。お前さ、さやにもりかにも好かれてるだろ。そんなお前に何か策を練ってもらいたいんだよ。


「そんなの知らんがな」


「頼む、なんでもするから」


え?今こいつ何でもするって言ったよね?その言葉の重さを承知してるのか!?


「分かった。そこまで言うなら仕方がない。俺も力を貸そうではないか」



俺とジンはりかさんを探しに校舎を探し回る。ものの数分でりかさんと出くわした。


「あら、ジンくんとあきらくんじゃないですか?お二人揃って一緒なんて珍しいですね」


「いいか、まずは背伸びしながら、ああ、今日もりかは可愛いな〜と言え」とジンの耳元で囁く。


「ああ、今日もりかは可愛いな〜」とジンは言われた通りするがりかの反応は薄い。


「おい、あまり効果ないんじゃないのか?」


「いい調子だ、次はスクワットしながら僕猛烈に彼女募集っすと言え」


「今僕猛烈に彼女募集っす」


「そ、そうですか?いい相手が見つかるといいですね」


「おいおい、りかのやつ彼女になる気さらさらないじゃないか!?」


「問題ない、最後に僕と一緒に愛の巣を築こうではないかって言うんだ」


「りか!」


「は、はい!」


「俺と一緒に愛の巣を築こうではないか〜!」


「いや〜!さっきからジンくんは何ですか!何がしたいんですか?」


「ジンはお前とエッチなことがしたいらしいんだ」


「ボカ!」


ジンはりかに蹴り飛ばされる。それも10mくらい。りかは呆れて帰っていった。

まあ、ジンのやつはちょっと気の毒だろうが、これまた仕方がない。


「作戦大失敗だな」


「お前のせいだ…ろ…」


「これも愛の試練だ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る