第14話 誘惑

屋上。そこが俺の安らぎの場所だ。

屋上で横になる時間がいい。


「あ、見つけたあきらくん!」


「なんだ、さやか。今俺は昼寝の途中なんだ。用なら後にしてくれ」


「そんなこと言わずにさちょっとこっち来てよ」


「はいはい」


否応ながらさやのところへと行く。


「で、何の用だ…むぎゅ・・・」


いきなりさやにハグされる。思ってもない事態にさすがの俺も動揺する。


「さ、さや。いきなり何をするんだ!?」


「ねぇ、あきらくん。私あなたにとても興味があるの」


「興味ってなんだ!?俺の部屋のエロ本の枚数か!?」


「うふふ、そんなんじゃなくて、あなたの・す・べ・て・よ」


オイオイおい、さやが爆弾発言しているぞ。こいつ怖!


いや待ていや待て、りかに及ばずさやも美少女だからな。ここで付き合うのもありっちゃありだ。だがこれはデジャブというやつか一応確認せねば!


「因みにさや。お前誰かに告白でもされたか?」


「何言ってるの?そんなのあるわけないじゃない。私はあなたと付き合いたいの!」


「俺じゃなきゃダメ?」


「うん、ダメ」


ニコリとさやは返事をする。

よく考えたらさやと付き合ったらクラスのみんなにまた襲われるのではないか。

いや、待て彼女と常時一緒にいれば大丈夫かもしれない。いやいやいや待て待て、そもそも同じクラスじゃないから襲われるの確定じゃないか!


「俺のそばにずっといてくれるか?」


「え!?うん、いいわよ」


やっぱり今日のさやはおかしいぞ。ずっといてくれるかなんてくさいセリフをまともに受け止めるなんて。やっぱりからかい過ぎだったか!?


「お前恋人ってどんなんか知ってる?」


「知らない、なれば分かるでしょう、ふふ」


「お前俺にご飯とか作ってくれるのか?」


「え?そんなことしないとダメなの?面倒くさい」


「あん、やっぱりな。とりあえず恋人になるなら飯くらい一緒に食うぞ。

そこ座れよ」


さやは俺が座るベンチの横へ座る。女の子特有のいい匂いがする。

ああ〜興奮するな。ムラムラする。


「あきらくんと一緒にご飯食べればいいんだよね」


「でさ、まさとが課題を美しい彼女に持ってかれましたって授業中に言い訳したら、クラスの奴らがさそれを根に持ってな、あの筋肉バカに放課後襲いかかって結果みんなやられたんだぜ、滑稽だろ」


「ふふ、そんなことがあったの、男ってバカばかりね」


「きょうすけのやつもジョーカーズのメンバー探しという名の恋人探しをしてんだけど、あいつ成果0なんだよな〜」


「へぇー、そうなんだ。きょうすけさんモテそうなのにあなたとは違ってね!」


「さや。それは言い過ぎだぜ。だってほら、少なくともさやと俺は恋人じゃん」


「そうだけど…そういえばあなた前にりかさんと付き合ってたそうね」


「それは茶番劇という名の誤解だけどな」


「じゃあ、なんでりかちゃんとキスしたのよ」


「え、えっとノリで」


「ふざけないで!」


さやはベンチをグーで殴る。確かにこれは俺もやりすぎだったかもしれないが…まあ、出来ちゃった結婚があるぐらいだし、出来ちゃったチューもありかもしれない。


「出来ちゃったチューだ」


「はい!?」


「りかさんはな。ジンにしつこくされていたんだ。それで俺に助けを求めて、恋人の代わりをしてあげたというわけさ」


「そうなんだ…あなたも少しはいいとこあるのね」


キーンコーンカーンコーン

学校のチャイムがなる。

「私もう行くわ」と言ってさやは屋上から出る。


さーて今日も楽しい授業の始まりだ。それも言い過ぎ・・・なんちて

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