第13話 パートさや
あきらにからかわれ急いで教室に向かう。
私の名前はさや。Bクラスだ。クラスではりかさんとジンくんが同じだ。
机の椅子に座り、教科書を取り出す。
「ねえ、大丈夫?さやさん」
話しかけてきたのは、りかさんだった。
「ええ、大丈夫、あの変態男にからかわれたからって何てことないわ!」
「そう?顔真っ赤だけど…?」
「え!?あ!?そ、そうかな」
頬を両手で触る。自分で気づかなかったけど、結構暑い。何でだろう…。私何でこんなに頬を赤らめてんだろ…」
「さやさんが赤いのってあきらくんが原因だよね」
「あんな変態男に私が動揺してしまうなんて…もう、滑稽ね。もう笑えばいいんじゃない、そうよみんな笑いなさいよ。あっはっはっは」
「大変、さやちゃんが壊れちゃった…」
私には初恋の思い出がない、まだ誰が好きになったと言うことはない。
人を好きになるってことがどういうことかも知らない。だから好きになりようがない。恋の意味や恋の大切を実感してみたい。そんな欲はあった。
教室の端で一人で寂しそうに座ってるジンくんに話しかけてみる。
「あの、ジンくんこんにちは…」
「ああ、さやか、どうした?俺に何か用か?」
「用ってほどの事でもないけど、どう元気?」
「それはな、あきらのせいで気分台無しだぜ、静かに飯食ってる時に、耳にフゥ〜ってかけてきたんだぜ。もう、あいつは変態だな」
「それは同感だわ」
「だがなあいつといると楽しいもんだぜ、まあ、変態馬鹿野郎だけどな。あ、今のあいつには内緒な」
「楽しい…か…」
想像もしてなかった。あきらの第一心象は最悪で何考えているか全く分からない。どういう人なのか何となく知りたい。その手段でも考えてみようかな。
授業中も真剣に聞かず、その手段ばかり考えていた。
あきらのことばかり考えて、まるで私があきらのことが好きみたいじゃない。
でも、そっか、確かめるのに一番いいのが、付き合ってみることだ。
長時間考えて導かれた結論がこれだ。
「よーし!」とカツを入れた。
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