学園の卒業パーティーで突然婚約者の王子から断罪された公爵令嬢のクラリス。あわや彼女の命もここまでか……しかし、彼女はただの令嬢ではない。かつての戦乱で武勇を振るったチェスト公爵家の令嬢だったのだ! かくして彼女の行く先は血煙舞い生首が飛ぶ地獄絵図へと変貌していく。
婚約破棄から物語が始まるのは悪役令嬢もののお約束であるが、そこから一切の申し開きを行わず、武力100%で打開していく展開はなかなかお目にかかれない。そして、侍女のベレッタとの薩摩弁による力強いやりとりも本作の大きな魅力だ。
「侍女にごつ」(訳:侍女だから主人の功績を数えたりサポートするのは当然です)
「まっこてよか侍女にごつ」(訳:貴女は本当に良い侍女ですね)
全ての会話がこの調子である。ってか令嬢の口から「肝心(きもごころ)」なんて単語が出てくる小説初めて読んだよ……。こんな調子で国家から断罪された悪役令嬢が、逆に王家へと反逆していく痛快娯楽活劇。1話完結の短編なので物語が最初から最後までフルスロットルなのも大変嬉しい。
(「いろんな悪役令嬢」4選/文=柿崎 憲)