◯修学旅行 2日目

世界遺産の首里城は、なんというか、すごい迫力だった。中3の時に行った、京都の建物とはまた違った良さを持っていて、大変良い刺激を受けた。

パイナップルパークでは、とりあえず、

食べ尽くした。食べ過ぎて、お腹を下し、

トイレにこもる友達が数人いて、

修学旅行らしいな、そう思っていた。


それから夜になったのだけど、やはり、曇りだった。それでも、費用を費やした学校としては強行突破し、ナイトツアーに参加したのだが、正直、曇った時用に違うこと考えておけよと思ってしまった。

先生達も同じことを考えていたようで、来年の先生方に伝えておこうと言っていた。

そして、ガイドの方が

「えー、今日はですね、恵まれぬ天気となってしまいました。でもですね、ここから見える夜景も綺麗でして、みなさん後ろをご覧ください。」

後ろを向いた。

すると、ぼんやりと曇った街並みが目に刺さる。

これは、綺麗と、言えるのか。

ガイドさんは必死だな。すると次は

「みなさん、こちらをご覧ください。

灯台の射す光は、地平線を越えていますよ。」

いよいよ、よくわからないことまで言い出した。

「海が綺麗ですね〜。」

挙げ句の果てに海が綺麗という、星関係なしの話題になった。

そして、そろそろ限界を感じたのか、自由時間になった。僕はこういう時、友達とはしゃぐのは好きじゃない。では、どうしたいのか。

僕は、僕好みの女子と一緒にいたい。

けど、彼女にはリーダー格のあいつがいる。

と、思っていたら、彼女は

性格の悪い女子に連れられ、どこかへ行こうとしていた。どこへ行く?そっちは、範囲外だぞ?

そう思って、僕は自分でもよくわからないけど、

付いて行ってしまった。所謂、ストーカー。かもしれない。でも、そんなことども、どうでもよくて、彼女らはどこかの林の方へ行ってしまった。

すかさず追いかける。

すると、

「きゃー!やめて!やめて!」

性格の悪い女子の声がした。

駆け寄って、木の陰に隠れて見ると、

あれは、高校生か?中学生か?

3人組の男子に囲まれている。

これは、まずい状況だ。すぐさま認知した。

しかし、僕に何ができる。

このまま突撃するか。

彼女を放っておけるわけがない。

先生を呼ぶか、でも。先生は昨日僕を叱った。

叱られてから何も話していない。それなのに、

今行ったら、お前何範囲外出たんだ!

と、ついには呆れられる。

どうする。

僕には仮面がある。

仮面があるんだ。

助けに行きたいけど、何が起こるかなんて、

わからない。

どうすれば良い。

なんで、僕はこうなんだ。

そう思った瞬間、

''ピシッピシッピシッピシッ''

ヒビがたくさん入った。


そして、僕は知らぬまま、

彼らに突撃をしていた。

「何してるんだよお!離せよお!!

どっかいけ!どっかいけ!」

自分でも驚いた。これが僕の本性か。

''ドスッ!''

蹴られた。でも、どうしてだろう。

痛くない。

''ゴンッ!バコッ!''

囲まれて殴られたけど、僕は変わらず

発狂していた。

「お前ら許さない!どこか行け!」

僕は1人の足に絡みついた。

血が滴っていた。奴の足に、血を塗りつけてやった。すると、「こいつやべえぞ!行こうぜ!」

と、逃げて行った。

はあ、はあ、はあ。

仰向けになって夜空を見上げた。

あれ、うっすら雲が抜けている。星が少し見える。

「本郷くん!大丈夫!」

「うん、大丈夫だよ。」

仮面を付けた、でも、ヒビだらけだ。

「あんた、すごい傷…、助かった。」

こいつのせいだ。こいつのせいで、彼女は…。

僕は睨んだ。ただ、睨んだ。

「行こうか。」

そう行って、立ち上がった。

ずきんっと頭が痛かった。今になって、くそ。

それから、物凄く痛かったけど、

凄まじいぐらい痛かったけど、

塩水で体を洗い流せるだけの血を洗い流した。

あの3人グループはいずれ警察に突き出してやろう。

それから、僕らが戻った時、雲はくっきり消え、

満天の星空が目に飛び込んできた。

みんな見とれていて、僕らに気づかなかった。

良かった。

それにしても、星が綺麗すぎる。

地平線の向こうから無数に光を放ち続けている。

あぁ、美しいな。

そこで、隣にいる彼女に僕は放った。

「星が綺麗だね。」

すると彼女は、

「月が出てたら良かったね。」

僕らは、…そう、その、付き合うことになった。

でも、彼女には仮面の中を見られてしまった。

でも、付け続けるしかない。ヒビだらけの

割れぬ仮面を。

その後、

「おい、本郷!?お前どうした!?」

みんなに心配された。

「あぁ、さっきコケちゃってさ、一気に落ちちゃったよ。」

「お前何してんだよー!はははは!」

なんとかうまくやった。

普段からいじられていて助かった。


その後、ホテルで手当てを受け、なんとかなった。

最高で最悪な夜だった。

仮面を外せれば、いいのに。

どうしても、外れない。

でも、いつかはきっと。

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