◯夏休み

1年の夏休み、僕はお祭りに誘われた。

お金がないし、行くのもめんどくさいし、

断りたかったけど、断れない。

だから、行くことになった。メンバーは、

僕を含め男子2人、女子2人。

男子はリーダーシップがあって、僕より

全然ルーム長に向いている。

女子の1人は性格が悪いと有名だ。

悪口を結構言うらしい。バカだよ、バカ。

気にくわない人がいるのは誰にでもあることだが、

それを共有しなくてもいいだろう。

自分の中に留めておくことができないんだな。

だから、自分の株を下げてゆく。それも自分自身で。まあ良い。

2人目の女子は僕好みの女子だ。

ショートカットで色白で、身長は160ぐらいか、

整った顔をしている。一緒に行くのが楽しみになっていた。けれども、ここで1つ問題がある。

もう1人の男子も、彼女が好きなんだ。

つまり、僕と性格悪い女子は脇役にすぎない。

利用されてるだけなんだ。まあ、わかってるけど、

利用されてることぐらいわかってるけど、

何にも言えない。

それに、せっかく、良いムードになる2人を僕が邪魔したら、後でどんな仕打ちが来るのかわからないだろう。

特に高校生の恋愛は色々怖い。

だから、盛り上げるだけ盛り上げるんだ。

仮面をした僕で。


4人で屋台を回っていた。ただ、ひたすら歩くだけ。休憩しようとも言えない。なんせ、彼らは、楽しそうに歩いているのだから。

2人で歩いている彼らの裏を、僕らは追いかけているだけ。でも、つまんなそうにしてたら、だめだ。

だから、僕はハイテンションを装っていた。

脇役の女子が「つまんな。」と呟いていたけど、

それを聞いたのは僕だけ。というより、

誰にも聞こえない声で言ったのだろう。

じゃあ、なんで来たんだよ、とか思ったけど、

すぐわかった、行く人がいなかったんだ。

それはそうと、脇役に声をかけた。

「はははっ!面白いね!楽しいね!

あの2人良いムードだよね!」もちろん笑顔で。

すると、「どうせくっついて、すぐ別れるわ。」と、よく思ってなかったようだ。

何、自分わかってますよアピールしてるんだ。

マジで、なんで来たんだよ、よりによって、

なんでこんなヤツが来た。とか思ったけど、

ハイテンションを貫いた。終始偽るのは、

疲れる。大変疲れる。けど貫いた。

「今日はありがとな!」

リーダーシップがそう言った。

僕は、楽しかったとハイテンションで返した。

脇役は、こちらこそありがとう。と、

また誘ってほしい、とまで言っていた。

まあ、そうだろうな。

僕は心から願い下げだけどね。

その後は、方向も違かったので、それぞれで帰った。…と思えば、良いムードの2人は、

2人でどこかに去っていった。

正直、心にきた。

僕が仮面を付けてさえいなかったら、

あそこには僕がいたのだろうか。

でも、外せないのが、本郷悠介という、

人物なんだ。

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