イキル チカラ(生命力) Sep.29, 2017

ものごころついた時にはもう 心も体も弱々しかった

1日中カラダは気怠けだるく 身のこなしはグズグズ

おそらく生まれ持ったぼくの特性だ


ベビーベッドに仰向けで寝かされていると

いつも顔が右を向くクセがあったらしい

母は気にして そのたびに正面を向けたらしいが

すぐにまた右を向いてしまったという

そのせいで ぼくの頭のカタチは

右の後ろ側が極端につぶれてしまっている


声はちいさく 自分の意を伝えようと声をふり絞れば

なぜか涙があふれた

元来しゃべる気力に欠け ひつよう最低限のコトバしか発さず

しゃべろうとしても 声帯が詰まっているかのように

声が出づらいのだ

これにはなんらかの気質的・心因的なものがあったのだと思う

思い起こせば ぼくは気オクレ感のかたまりのようだった


幼稚園児にして すでに己の顔貌に大きなコンプレックスを抱え

ひとり鏡の前で嗚咽したことを いまでも鮮明におぼえている

女々しいヤツである


園児たちは園庭で 気になる相手にアプローチをし

喜怒哀楽の花を咲かせていた

ぼくは 気になる相手に話しかけたいけれど

どう話せばいいか分からず思案しているうちに

その相手は ほかの誰かと意気投合して遊びはじめてしまう

たいがい ぼくが気になる相手は

ぼくのことは気にならないようだった

それはそうだ

園庭のすみっこで土をいじってるだけのヤツは

どう見ても魅力にあふれていない


幼いながらに考えたことは きっとこうだったと思う

自在に話しかけ 友達になり楽しく遊ぶことが出来るヤツは

好かれる顔貌をしているからだと

ぼくに出来ないわけはきっと この辛気臭い顔貌が原因なんだと。。。


幼児なりに 女々しくてツラかったんだろう・・・


小さな劣等感 コミュニティで楽しめない疎外感

自己嫌悪

自尊心など育つはずもなく

そういう自分をさらすことが恥ずかしいと思う羞恥心ばかり

そんな自分がもうこれ以上キズつかないようにするために

シャイなハートは鎧を頑強にしていく


追いかけっこより 折り紙

ブランコよりも お絵かき

とにかく外より おうち

外の世界を知れば知るほど 家にこもりたがった

好奇心よりも臆病風が勝る


折り紙は 折り目キッチリ

お絵かきは 細部までハッキリ

こだわりが強く 時間を忘れてのめり込んだ

それはきっと心の安定をはかるためだったんだなぁ と思っている


とにかく 声が出しづらいから話すのが億劫おっくう

園友から話しかけられたとしても

テンションの低い自分から出る言葉たちは

弱々しく たどたどしく・・・

あきれられて

「なにいうとんねん! わけわからんわ〜」

と去っていってしまう


先生にも

「大きな声でいわんと きこえへんよー!」

とあしらわれたり聞こえないフリをされたり・・・


この頃からすでに疲れやすい体質で 気怠くグズグズしていたので

両親からも些細なことで 朝から晩までガミガミと怒られていた


そんなことを繰り返すうちに

人が怖くなり 避けるようになり

怒られないための人格づくり


そして ニンゲン・ギライになっていったのだった

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