第12話
そして、数日が経った。
既にクラスメイト全員が魔法を使え、知識も人並みにはついた。
ステータスも順調に上がっており、スキルもそこそこ使いこなせ始めている。
色々と成長速度がおかしいとは思ったのだが、過去の異世界人も似たようなものだったらしい。
あ、そうそう。異世界人についても教えて貰った。
現在、この世界にいる異世界人は3名。そして、驚くことに全ての異世界人が俺たちと同郷……つまり地球出身なのだ。
色々と聞きたかったが、2人は遥か遠くの西に位置する帝国に、1人は行方不明になっているらしい。
他の情報としては、この世界の脅威についてだ。
まず一つ。北の大勢力『大魔王軍』だ。
初めて聞いたとき、この世界に魔王がいるのかと心を踊らした。
俺は主人公サイドも好きだが、敵サイドもかなり好きだ。あの圧倒的な力は何とも魅力を感じる。何より、武雄が勇者なわけだし、裏切ってあちら側に付こうかなとか思っていたのだが……次の話を聞いた瞬間にそれは不可能となった。
それはヴォルさんに魔王の情報を教わっているとき――――――
「魔王軍は幾つもの人間を殺しています。しかし、彼らが何よりも執拗に狙うのは……異世界人なのです」
指をぴんと立て、俺らをじっくりと見つめるヴォルさん。
「理由は簡単です。遥かなる昔、魔王軍の異形の者達と人間やその他の亜人族は平和に暮らしていました。そんなある日、この世界に初めての異世界人が現れました。そして、彼は信じられないことを言いました」
『何だその気持ち悪い者達は!』
「そして、彼は異世界人特有の『ちぃと』と呼ばれる能力で虐殺を始めました。それが対立の原因を作り……今に至るのです。ですから、あなた達はいち早く強くならなくてはならないのです!」
という話だ。異世界人の2人が遠く離れた帝国に行ったのも頷ける。
とはいえ、脅威は大魔王軍だけではない。
二つ目の脅威、『邪神教団』。
こちらの脅威は王国にはほとんど無関係であり、全ては西の帝国が対処しているらしい。
特別何かを狙うわけではなく、ただただ殺しを楽しむ狂気の殺人集団のようだ。
そして、最後の脅威『魔物』
小説なんかでよく出てくるものと同じ類のものだ。
野生の獣が魔力を持ち、恐ろしいレベルで強化された生物。
数が多く、実力も高いので厄介だそうだ。
と、これがこの世界の脅威だそうだ。
因みに、この世界の文明は低く、中世ほどのようだった。
何度か城下町へ出かけたが、ドラ〇エを思い出すような街並みであって日本とは程遠かった。
「康太? お前は何の武器にするんだよ」
すぐ隣から声が聞こえた。
良介の声だ。
おっと、忘れてた。武器を選んでいる最中だったよ。
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