第11話

 その後、ドランさんからは魔法の話を延々と聞かされ、時間の感覚がなくなり始めたとき、お昼の休憩に入った。


 延々と続く小難しい話……とはいえ、それは誰もが一度は憧れたことがあるだろう魔法の話である。

 専門用語などもドランさんの配慮からか、余り使われていなかった。


 ドランさんによると、魔法というのは2つの発動方法があるらしい。

 まず一つ目が、最もポプュラーな方法である魔法陣による発動。

 それを大雑把に言うと、ステータスに表記されていた魔力を消費して、魔法陣を作り出し魔法を発動するという方法だ。

 作り出した魔法陣の数により位階が決まり、魔法陣の中の線――――魔力糸によって魔法の種類が決まる。もちろん、魔力糸の配置も決まっており、間違えると発動しないらしい。

 また、魔法陣は作り出した瞬間から劣化が始まり、一瞬で消滅してしまうとのこと。要するに、一つ作り出したら消滅する前にもう一つ作り出す必要があるのだ。

 人間や、亜人種と呼ばれる人ならざる者が素の状態で行使できる最大の位階は五であるらしいのだが、魔法陣を作り出す過程を補助する道具や、特殊な鉱石や魔物の素材を使えば、簡単にそれ以上の位階魔法が使えるそうだ。それでも、限界はあるそうで魔法陣の消滅速度と作り出す速度から、どれだけのスピードで作り出しても、例え術者が神であっても十位階が最大らしい。


 二つ目の魔法が、スキルによる魔法。

 これはその名の通り、スキルで発動する魔法である。驚くことに魔力を一切消費しないという。その代わり……と言っては難だが、詠唱という長ったらしい文章を唱えなければならないようだ。

 意味のわからない文からはっきりとした文まであるそうで、優の唱えた文も詠唱だと思われる。

 その他にも、魔法陣の作り方や触媒と呼ばれる位階を底上げする鉱石、素材の説明を受け、現在頭がパンクしかけである。

 因みに、休憩を取っている場所は昨日の大広間ほど広くない大部屋だ。


 一筋の風が肌を撫でる。

 ってえ? ここ室内なんですけど……。

 と考えてから、ここが地球とは常識が通じない異世界ということを思い出す。

 魔法があったっけ。便利すぎるな……。



 ごーんと鐘の音が響いた。

 昼の休憩が終わったのだ。


「んんー」


 思いっきり伸びをして次の授業に向かう。

 次の授業はこの世界で生きていくには、絶対に学ばなければならないものだ。


 情報関連である。

 俺らが戦うとすれば、敵は一体何なのか。

 厳しい野生の環境や原生生物、他国の人間、異民族、もしかしたら魔王なんてのもいるかも知れない。

 経済だって重要だ。

 どれだけ通貨が安定しているのか。貨幣制度は地球よりも発展しているのか。


 1日で全てが吸収できるとは思わないが、折角チートを貰ったんだ。存分に異世界を楽しみたい!

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