第3話

 再び意識が戻ったとき、俺は真っ白な空間にいた。


「痛っ」


 まだ耳に鈍い痛みが残っている。

 周りを見渡してみるが、クラスメイトは1人もいない。それどころか、物体が一切ない。


「ここは……どこだ?」


 何気なく呟いた一言。生物どころが物すらないので返事は期待していない。ただの独り言のはずだった。


『こんにちは康太くん』


 突如、頭の中から声が聞こえた。感情が篭っているとは思えない程、冷たい無機質な声。


「誰!?」


『神様とでも名乗っておきましょうか』


 んな馬鹿な。と言おうとしたが、それより先に、これは夢だという結論になり、遊んでみるかという気分になる。


「ええと、神様が俺に何の用?」


『貴方だけでは無いのですが……まあ、いいでしょう。これから貴方には異世界に行って貰います』


 …………。はぁ、火炎ライダーの夢でも見てるのかな?まあいいや、面白そうだし、ちょっと真面目に話を聞いてみるか。


「俺、両親がいるんだけど……」


『拒否はできません』


 見えない神の顔がにこりと微笑んだ気がした。

 大雑把だな。融通が効かなそうだ。

 まあ、行かせるのは強制っぽいけど、異世界ってどんなところだろう。

 エルフやらドワーフやら色んな人型の種族がいて、魔法が使える世界なのかな?


「異世界ってどんなとこなの?」


『貴方の想像している通り魔法があり、多くの種族が支配権を巡って争っている世界です』


 俺の心を読みやがった!

 って俺の夢なんだから当たり前か。

 あとはそうだなぁ。


「俺は生き残れるだけの力があるの?」


 魔法があるのに、銃も何も持っていない俺は生き残ることが出来るのか。それは一番気になることだ。


『無いでしょう』


 また、神がにこりと笑ったような気がした。


「お、俺に死ねと……?」 


『いいえ、力が無いのなら得ればいいだけです』


 なるほど。簡単な理屈だ。


「鍛えるのか?」


『違います。チートと言えば簡単に理解出来るでしょう? それを貴方に渡します』


「チートか……」


『ええ、そうです。それではさようなら』


 え? ちょ! もっと説明が欲しいんだけど!


『言い忘れてましたけど、これ夢じゃありませんから』


 今……何て言った……?

 その言葉の意味を理解する前に俺の意識は闇へと沈んでいった。

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