(5)


現在の時刻は21時。

私達は小さな常夜灯の下に集まり今回の計画について再度確認を行っていた。


「とりあえず今から残りのメンバーを呼んでおくわね。もう一度配置の確認とかもしておきたいし。…というワケで…イグアス!グリアス!」


そう言って私は自分の服の襟元をわずかに開くと、右の鎖骨下に刻まれた紋章をあらわにした。


するとその紋章から放たれた青白い光の中から2匹のトカゲ兵が現れる。

彼らがイグアスとグリアス。

最近王国正規軍に入ったばかりの兵士で、先に私と行動を共にしていたトカゲ兵のゾイアスにとっては直属の部下となる人材である。


「それって相変わらず便利よね~…

一体どんな仕組みになってんの?」


作戦会議がしやすいようにと、その辺に置いてあった有り合わせの物でゾイアスが作り上げた簡易式の机に頬杖をつき、何故だか少し呆れた表情でラミカは私にそう尋ねてきた。


「ん~…私も実はよく分からないんだけどね…とりあえず自分と契約を結んだ魔族は、この胸のマークから出せるようにはなってる…みたいな。」


衣服を整えながら、何とも曖昧な返事で答える私に向かって、ラミカはさらに言葉を続ける。


「だからってトカゲばっかり出しすぎじゃない?たまにはあのオウル様みたいな目に優しい爽やかイケメンとかも出しなさいよ!乙女には定期的な目の保養も必要だわ!!」


…他人の瞳に厳しすぎる原色バリバリのド派手ドレスを身にまとっているお前が何を言う…。


なんて言葉や思いは必死に飲み込み、あたしはとりあえず反論を行う事とした。


「あのねぇ!オウル様なんてただの吟遊詩人、召喚したところでラララ~とかルルル~とかって歌ってばかりで作戦会議どころじゃなくなっちゃうでしょ!」


無駄に机をバンバン叩きながら反論してみせる私。


「でも目の保養にはなりますぅ~、こんなやたらギョロギョロと目ばっかり動かすトカゲ兵軍団に見つめられるより、涼しげなオウル様に流し目の一つでも送ってもらう方が断然やる気が出ますぅ~」


そう言ってラミカも負けじと机をバンバン叩いている。


「…悪かったな。目ばっかりギョロギョロさせて。」


コホンと一つ咳払いをして呆れた表情で割って入るゾイアス。


「そうよ!たまには慎みなさいよ!そのギョロッギョロさせるヤツ!

あ!今もちょっとギョロってしたわね!分かるんだから!!」


…いや、生理的な現象だからさすがにそれは無理でしょうよ。


「とにかく!時間もないんだからちゃんと作戦会議を続けましょ!」


そう言って私はラミカを制すと、必死に平静を装いながらカジノの地図を広げ始めた。


その様子を見て、自然にみんなも私の周りを囲むように集まり出す。


私は全員が集まり終えたのを確認すると、今回の作戦についての概要を細かく話はじめる事にした。

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