コント 携帯ショップ

ジャンボ尾崎手配犯

第1話

携帯ショップに入店するA、

店員が一人、カウンターに座っている。客は誰もいない。

店員のところに向かうA。

A「すいません、ちょっと、いいすか」

店員「あ、すいません、そこにある番号札とって、お待ちください」

A「あ、そうなの」

発券機からから番号札を抜き取り、ソファーに座るA

店員「(間髪置かずに)次の方、どうぞー」

A「(カウンターに向かい、番号札をかざしながら)おい、これ、意味あったのか?」

店員「一応、規則ですので。今日は何の御用でしょうか?」

A「ちょっとね、携帯が壊れたっぽいんだよね」

店員「(にやけながら)お客さん、アダルトサイトの見すぎじゃないですか~」

A「いや、見てねえよ」

店員「いや、隠さなくてもいいんですよ。どうせわかっちゃいますから」

A「本当に見てないっつーの。俺は、DVD派だから。いや、そんなことどうでもいいんだよ。早く見てくれや」

鞄から携帯を取り出すA。

携帯を受け取る店員。

店員「ああ、ガラケーですかー」

A「まあ、慣れてるからね」

店員「いや、まだあったんですね。ガラケー。10年ぶりぐらいに見ましたよ。はあー、珍しいな」

A「俺はこれで済んでたからさ。そんな使わないんだよ、携帯自体」

店員「これ、写真撮ってもいいですか? あとで、インスタにあげるんで」

A「上げんなよ、そんなもん。いいから、直してくれよ」

携帯をいじる店員。

A「なんか、電源入ってんのに全然動かないんだよ」

店員「ああ、なるほど。あー、これ、ハッキングされてますね」

A「え、ハッキングされてんの、俺の携帯?」

店員「完全にハッキングですね。データ完全に盗まれてます。まあ、大したもの入ってないでしょうけど」

A「お前がいうことじゃないだろ、それは」

店員「とにかく、今、対処しますので」

携帯を持って裏に回る店員。

数秒後、「バキッ!」という不穏な音が聞こえる。

店員「あ!」

落ち着かないA。

暫くして、店員がコーヒーを持って出てくる。

店員「あの、あったかいコーヒーいれました」

A「ちょっと待て。なんか『バキッ!』って音したろ」

店員「えっと、空耳じゃないですか?」

A「空耳じゃねえよ! お前、もしかして、壊したんじゃねえのか?」

店員「えーと、あの、多分、壊しました」

A「多分じゃねえだろ! 何でウソついたんだよ!」

店員「怒られると思って……」

A「当たり前だろうが。小学生かお前は。いいから、携帯持ってこいって」

裏に回る店員。

真っ二つになった携帯を持って戻ってくる。

A「お前、これ真っ二つじゃねえか」

店員「見ようによっては、そう見えるかもしれません」

A「どう見たって真っ二つだろ。どうやったら、こんな壊れ方するんだよ」

店員「今、あの、ボンドでくっつけますんで」

A「夏休みの工作か。くっつくか馬鹿野郎」

店員「すいません」

A「いいよ、もう。どうせ壊れてたから。じゃあ、あれできる? 機種変」

店員「自主練?」

A「馬鹿かお前は? 何の練習するんだここで。機種変ね。機種変」

店員「じゃあ、あのせっかくですので、スマホにしたらどうですか?」

A「スマホねー。なんか、難しいんじゃないの? 俺、機械苦手なんだよねー」

店員「慣れれば結構簡単ですよ。僕はメールと電話しか使ってないですけど」

A「じゃあ、スマホじゃなくてもいいだろ」

店員「あと、あれなんです。今、地図入ってるんですよ、スマホに。これはすごい便利ですよ」

A「それはいいかもしれないな。俺、方向音痴なんだよね」

店員「ちょっと、見本持ってきますね」

A「おお、サンキュー」

裏に回る店員。

スマホと古地図を持って戻ってくる。

店員「これがスマホで、こっちが付属品の地図になります」

A「地図入ってるって、ただ地図がついてくるだけなの?」

店員「こちらの機種だとそういう感じになります」

A「いや、いらねえよ、そんなの。(地図を広げて)しかも、お前これ、古地図じゃねえかよ。古すぎて使い物にならんわ」

店員「(地図を指さしながら)ここが一応越後屋ですね」

A「越後屋って、江戸時代だろ。今の三越じゃねえか」

店員「ま、そんなに変わってないと思うんで大丈夫だと」

A「めちゃくちゃ変わってるわ。別のスマホ持って来いよ」

再び裏に回る店員。

スマホを持って戻ってくる店員。

店員「こちらがアイボンの最新機種となってます」

A「アイボン? アイフォンなら聞いたことあるけど」

店員「アイフォンの下位互換ですね」

A「なんで、下位の方を勧めるんだよ」

店員「こちらですと、お客様みたいな、機械音痴で低所得の方にピッタリかと」

A「お前馬鹿にしてんのか、この野郎。もういい、別のところで買うわ」

席を立つA。

店員「お客様、では、こちらの地図をお使いください」

古地図を差し出す店員。

A「いらねえよ」

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