第42話 神経衰弱的な
「オロロロロロロ!」
ヘルプミー。
森の中を通過中のところ、ゲロを撒き散らしながら進んでくる二足歩行のカエルみたいな魔物と遭遇した。
なんだ、ゲロゲロ鳴くからゲロを吐くってか。
ざっけんな汚物が!
「紡げ!
指先から一線の
グロい。
多少魔力を強めに込めたからと言って、体が弾け飛ぶとは思わなかった。
「何だよコイツ……めっちゃキモいじゃん」
「だから森を燃やしたほうが早いよ」
「何が早いんだよ、その短絡的な思考のほうが早いわ。とりあえずコイツの名前はゲロリアンと名付けよう」
改造したらタイムマシンになりそうな名前だが、まぁいいだろう。
「森の中ってこともあって魔物が少し多いな。どれもこれも大したことないやつばっかりだけど、精神的に来るやつが多い」
「でも森の中ってあんまり来たことないから楽しい」
「シーラがいた大陸ってのは……荒野が多いんだっけ?」
「うん。別に木々が無いわけじゃないけど、ここと比べると全然少なかった」
「どんな魔物とかいた?」
「スーパーブレイズとか、エビルスパロウ」
ぜんっぜん分からん。
アーマードアントとかだとなんとなく名前でイメージできるけど、今聞いた奴は全くイメージ湧かない。
ていうか強そうな名前だな。
「普通の一般街道を通ってもいいんだけど、次の国に行くのに、地図的にはこの密林を抜けるのが一番近道らしいからな」
「じゃあこの道でいいよ」
「迷わないようにだけはしないと……」
森の中は素人じゃすぐに迷うって話だからな。
既に路頭に迷ってる節はあるってか? やかましいわ。
森の中を進み始めてしばらくすると、人の生活音のようなものが聞こえてきた。
どうやら森の中に集落的なのがあったようで、偶然にもそこに辿り着いてしまったようだ。
地図を見ると、確かに目的地に向かう途中に村が存在しているのが記載されていたが、方向的に少し左寄りにあるため、知らず知らずのうちに目的地よりも斜めに向かっていたみたいだ。
「やっぱり気付いたら変な方向に進んでたんだなぁ。まぁ丁度いいじゃん、今日はここで休ませてもらおうぜ」
「うん」
村へと近づいたところで微妙な違和感を感じた。
なんというか……話し方が人とは違う感じがするというか、第六感的な。
「……ちょっとストップ。一回離れた位置から村を覗いてみよう」
「何で?」
「いや……なんとなくだけど」
これで何も無かったら本当に恥ずかしい。
一人でスネークごっこやってる馬鹿になっちゃうよ。
だけど少しずつ近付き、村の入り口が見えるところまで移動した頃、スネークごっこをやって良かったと思った。
村の入り口のところに姿形は人間に近いが、その耳は
そしてその直近には青色の筋肉ダルマ、下級魔人が数体うろついていた。
ここが魔者の村だなんて情報は聞いていない。
これは俺が情弱なだけだろうか。
いいや違う。
反語。
この辺りは基本的に人間側の領土であり、魔王や魔族が住んでいるようなところはないと聞いた。
つまりあいつらは、この前のスサノ町に進行してきた魔王の残党と同じで、この村を現在進行形で侵略しているということだ。
シャンドラ王国から実力のある討伐隊が各地の町や国に派遣されているのは俺も知っている。
実際スサノ町にもA級の討伐隊がやってきたのは俺も見た。
ならこの村にも送られているとは思うんだが……考えられるのは、討伐隊の人員的な面で支配されると人間社会に大打撃なところから重点的に援軍を送って、ここみたいな小さい村は後回しにされているか。
もしくは、ここに送られた討伐隊が既に
大穴で、あいつらは人間大好き共生派というのもある。
流石に3つ目は冗談だけど、そうなるとこの村にいた人達は全滅だろうか。
うわぁ……考えたくねーな。
とにかく、触らぬ神に祟りなしだ。
迂回して回ろう……。
「ヘイ、今日も人間ペアゲームやろうぜ」
その場から離れようとした時、入り口に別の魔者がやってきた。
人間ペアゲームとはなんだ?
「またか? 人間どもは親子関係なく揃ってどれも顔が一緒だから分かんねぇんだよ」
「今日こそは揃えるからよ。昨日はギルのやつが揃えやがったからな、負けたままじゃ終われねぇよ」
なんかのゲームでもやるつもりなんだろうか。
魔者にもそういうのはやっぱあるんだな。
「でもガキの数も減ってきたし、そしたら今日は夫婦でいいんじゃないか?」
「お、いいねぇ。じゃあ合計10人の男女集めて、その中で夫婦だった奴らを殺せた奴が今日の晩飯ゲットな」
「よしノッた」
二人の男は下級魔人をその場に残し、村の中に入っていった。
……………………。
…………話の流れから察するに、要は人間を使った神経衰弱的なのをやっているんだろう。
それも、ペアが揃う揃わない関係なく選択された人間はその場で殺されると。
…………嫌なもの聞いちゃったよなぁ。
村の人はまだ生きていて、今なお虐殺されている。
これを聞いて見捨てるなんてこと、それこそ外道でない限り出来ない。
俺もまだそこまで腐ってない。
と、思いたい。
やるしかない。
ポジティブに考えろ俺。
ここいる魔人共を俺の手駒にすることができるんだぜ?
村は助かり、俺は手下が増えてwin- win間違いなし!
「行くぜシーラ」
「目的地に?」
「何言ってんだ、戦いにだよ」
俺はニヤリと笑って銃を引き抜いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます