第43話 ガルム流剣術とでも名付けよう
銃に魔力を込めて弾を生成する。
まずは入り口にいる4体の下級魔人を片付けることにしよう。
そしてキッチリ俺の配下にする。
「シーラ、早くも魔法解禁だ」
「使っていいの?」
「ここから大体村の反対側に向かって火球を放ってくれ。それで中にいる奴の注意を引く」
「…………中の捕まってる人に当たらない?」
「そこはほら、センスですよ」
村の外ギリギリに火球を放ってくれるのが一番いいが、村の大きさが分からない以上、最悪反対側であれば森に火がついてもしょうがない。
最初と言ってることがバラバラかもしれないけど、流石に魔者の奴らも、自分らが寝床にしてる近くに火が付けば消しにかかるだろう。
「……やってみる。
シーラが両手に火球を作り出し、ネリネリと混ぜて徐々に大きさを広げていく。
球の形から細く、鋭く槍のような形にしているあたり、自分でアレンジを加えて適したスタイルに変えているんだろう。
これがマスター級魔法の特徴ってことかな?
「できた」
直径10mほどの火槍が完成し、ゴウゴウと音を立てて燃え盛っている。
この前は火魔法をずっと留めていると熱がっていたが、今は大丈夫みたいだ。
「熱くないのか?」
「……火魔法自体を火魔法の
なるほど……。
仕組みはよく分からんが、とにかくその点は改善されたわけね。
覚醒した当初も無意識の内に膜で全体を囲っていたから熱くなかったのか。
「自分で発見するとはやるじゃん」
「えっへん」
「じゃあそれを反対側に頼むわ。それと同時に俺は下級魔人に猪突猛進するから、俺が倒し終えたらこっちに合流して。それまで待機な」
「分かった」
シーラが火槍を勢いよく放つと、空を切り裂くように赤色の軌道を描きながら反対側へと飛んでいった。
触れる木々に火が燃え移りながら、邪魔するものを焦がしながら
…………さすがにちょっとやりすぎだろ……。
あれじゃあ森を全焼させる勢いだぞ……。
「ねぇすごい? 火に圧力をかけて大量に練り混ぜてから膜を張ったから、ぶつかった時に勢いよく爆発するようにしたの」
「子供は残酷というけど……おっそろしい」
要は袋の中に許容量以上の炎を詰め込んで、地面にぶつかった衝撃で破裂させたってことだろうな。
いいなぁ俺も雷を自在に操れるようになりたい。
人の怒声のようなものが遠くから聞こえてきた。
これで大半は向こうに流れるだろう。
「それじゃあやるか!」
俺は木の陰から抜け出し、4体の下級魔人の元へと向かっていった。
右手に銃を、左手に剣を。
一体の顔面目掛けて発砲した。
グシャっという鈍い音と共に下級魔人の顔が潰れ、仰け反った。
それに反応するかの如く残りの三体がすぐさま俺に飛びかかってきたが、中級魔人に比べれば遥かに遅く、俺を捉えることは出来ない。
地面を
青い血飛沫が俺にかかり、圧倒的な不快感に襲われるが、止まることなく銃に大量の魔力を流し込んだ。
銃が発光し始めたことで
魔人が光に収束され始めると同時に新たに弾を生成。
背後から迫ってきていた魔人の一撃を剣で横に受け流し、腹に向かって銃を連射した。
魔人の腹を貫通していってるのか、風穴が空いてしまっている。
やはり距離が近いほうが威力は増しているようだ。
直ぐに三体目に剣を向ける。
ガルムに教わった剣術、強いて言えばガルム流剣術を用いて四方八方の全てから斬りつけ、その斬りつけた勢いのまま回転して近づき、4体目の魔人の片腕も切り落とした。
そして既に
2体目も光に収束され、ギュルギュルと回転しながら
3体目、4体目も同じようにして青色のビー玉へと変換することができ、無事に討伐成功した。
スサノ町で戦った時よりもアッサリと倒すことができた。
その要因として、こいつら魔人というのは単調な動きしかとらないため、身体能力で上回っていれば確実に仕留めることができる。
まさしく脳筋だ。
とりあえず村の中にいるやつらもこっちには来てないし、まだ俺達のことはバレてない。
シーラを呼んで中に入るか。
っと、呼ぶまでもなくこっちに来たな。
「なんか余裕あったように見えた」
「俺は天下無双の
青色のビー玉を4つ拾って、ベルトに付けたポーチの中にしまった。
スサノ町で買った魔人入れのポーチだ。
どうだ、格好いいだろう。
お値段なんと、3980D《ドラ》です。
サンキュッパです。
この買い物上手ぅ!
「……一人でニタニタして気持ち悪い」
「グハァッ! 俺のMP《メンタルポイント》に50のダメージだ……」
なんてふざけてる場合じゃねーや。
敵が来る前に村の人達を助けねーと。
趣味の悪いゲームなんて辞めさせてやる。
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