補講 理子メモ「カント」
イマヌエル・カント(1724-1804)は、東プロイセンの首都ケーニヒスベルク(現在はロシア領カリーニングラード)で生まれ、生涯ケーニヒスベルクをほとんど離れることがなかった。ドイツの哲学者と言って問題はないが、ドイツの中心からはずいぶん離れたところで哲学をしていたことになる。
カントの哲学は「批判哲学」と呼ばれる。この場合の「批判」とは、誰か・なにかの欠点を指摘して非難することではない。「批判(Kritik)」の語源であるギリシア語のkrineinは「分ける」という意味であり、カントにおいて「批判」とは「あるものについて、そのものとほかのものとの境界を区切り、その限界を見定める」ことである。ちなみに「危機(Krisis/crisis)」も同じ語源に基づく。つまり危機とは、そこを境に時代が前と後とで分かれてしまうほどの状況という意味だろう。
カントは『純粋理性批判』(1781)で理性の批判をおこなった。理性に出来ることと出来ないこととを分けたのである。自由や宇宙や神といった形而上学的問題について理性が解答を与えようとすると、アンチノミーに陥る。こうした問いを理性が考えることは、理性の「越権行為」であるとカントは考えた。こうした問いに答えるのは、知ではなく「信仰」なのだ。
カントの『純粋理性批判』・『実践理性批判』(1788)・『判断力批判』(1790)の三冊を合わせて「三批判書」と呼ぶ。哲学史におけるカントの業績は、イギリスの経験論と大陸(フランス・ドイツ)の合理論とを融合した点にあるとまとめられる。
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