第2話~ノタ・ドラグノア~
「私はノタ=ドラグノア。ドラグノア帝国第三王女にして、竜の意志を継ぐものよ。」
彼女は私にそう告げた。心なしか少し自慢げに。だがしかし、森の奥地の村で田舎暮らしをしていた私にとっては帝国の王族など知るはずもなく、しかも竜の意志などと言われても理解できるはずもなく……
「……よろしくお願いします?」
と、疑問形で返してしまった。王女様ことノタ=ドラグノアさんは、少し呆れた顔でため息をついた。
「一応…王女なのよ?少しくらい驚いてくれてもいいんじゃないかしら…」
「すいません…田舎で暮らしていたのであまり外の事情に詳しくないんです。」
私は正直に本当に知らないことを告げた。
「そう、本当に田舎なのね、そこ…」
王女は可哀想なものを見る目でこちらを見つめてきた。そんな目で見つめられてもとても困る。
「まあいいわ、別に王族を気取ってるわけじゃないし。それよりもこれからについて話しましょう。」
王女はこれからについて語り始めた。
「まず、私たちの関係について。あなたは私が奴隷として買ったけれど、もう主従関係じゃないわ。あなたは私と共に旅をする仲間よ。多分年も同じくらいでしょ?敬語も使う必要もないわ。私のことはノタと呼んでちょうだい。私もあなたのことは…えっと、まだあなたの名前聞いてなかったわね。」
「シエル=ユリスティアです。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく。呼び方はシエルでいいわよね?」
「はい、大丈夫です。」
「だからそんなに畏まらなくていいのよ?もう仲間なんだから。もっと気楽にしなさいな。」
「はい、わかりまし……わかった。」
「よろしい。とりあえず自己紹介はこれくらいにしましょう。詳しい事はまた後でゆっくり話すことにするわ。」
「わかった。」
「あなたって…意外と口下手?」
ズバリ言われてしまった。しかし本当のことなので否定出来ない。
「さて、次は私たちが旅をする理由を説明するわ。正直これが一番大切だからよく聞いてちょうだい。」
ノタが本題に入る。
「シエルは竜人国物語って知ってるかしら?」
「それってあの有名な昔話だよね、それと何か関係あるの?」
「ええ、もちろんあるわ。あのお話にはドラグノア一族の秘密と昔の出来事の真相を暴く鍵がある。私はその鍵を見つける為に度をしようと思っているわ。」
どうやらノタの話によると、ドラグノアは帝国は には秘密があるらしく、ノタはそれを暴くために旅をするようだ。
「でも、ノタは王族でしょ?王国から追っ手が来たりするんじゃない?」
「それは大丈夫よ。私は正統な王家の血筋じゃないの。だから常に無視され続けてきたのよ。」
なんか今しれっととんでもないことを言ったような気がする。
「まあ秘密に迫ったら口封じとして追われることはあるかもしれないけどね。」
「そんな可愛く微笑まれても恐ろしい事を言ってることには変わらないよノタ…」
「まあいいじゃない、いざとなったら私が護ってあげるわよ。こう見えても私、魔法使えるのよ?」
ノタは魔法が使えるのか。私は試してみたことはないけれど、今度教えてもらおうと思った。
「そんなことより、旅の目的は説明したんだから早く旅に出る準備をしましょう。あなたもそんなボロ布みたいな服をずっと着ていたくはないでしょう?」
「そうです…だね。早く着替えたいかな。」
実は割と着心地が良かったなんて言えなかった。
「なら早くマーケットへ行きましょう。必要な物を揃えて早くこの国を出たいわ!」
ノタは早く旅をしたいのかうずうずしながら私を連れ出した。
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