扉の中で、私は想う

@mikoko

第1話


愛しい人


私は、あなたを、美味しそうだと思ってしまった


街にはゾンビが溢れかえってる


どんどん、単純な事しか考えられなくなるの

あなたとの思い出、忘れていくの


だから、鍵をかけたの


この扉


彼はすごく、綺麗な人なの

鼻はシュってしてて、

目は二重で大きくて


見つめられたらドキドキが止まらないの


ぎゅってされると、温かいの


私はもう、冷たいの


目の前に、現れないで


気持ちが揺らぐから


私、一人で消えるの


その扉を叩かないで

扉の向こうで叫ばないで


声を聞くと、揺らいでしまう


生きて

美しいままで


変色した手で、私は包丁を喉に突き立てた

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