第10話///決闘している場合じゃない
まぁ、挑発行為にまんまと乗ってくれたのは有難い。相手は自慢の
「はあぁぁぁぁぁぁッ!」
右へ左へと
人は、口の中に異物が入るとどうなるか? よほどの達人でもない限り動きが止まる。つまり
「おんッ」と呻いて倒れる相手を途中で抱え、周囲を見回し僕は叫んだ。
「この決闘に異議のある者は今すぐ前に出てください。相手をします」
まぁ、反応はお察しで、上位の人間をあっさり倒すと思いのほか反抗はない。だけど念押しのために美しい
「僕は何も持っていません。今の石ころが最後の武器です。そして、皆さんの抱える問題を解決しにやってきました。どなたか異議のある方は武器を手に申し出てください」
「やめろお前ら! この人の強さはいま見た通りだ」
今まで黙っていたアリスタさんが大声を上げる。まあ、これ以上に仲間を傷付けたくはないのだろう。そんな
「いよぉナガマサの大将ッ」
みれば中ボスらしき人物を引き連れてマルタさんが全員を引き連れて現れた。
「心配して追いかけてくればコレかよ。へへっ……アンタやっぱしとんでもねぇわ。言われたとおり全員殺さず捕虜にしたゼ」
まぁ、さらっと言ってのけるマルタさんも相当だけれどとにかく野盗はこれで制圧できたっぽい。
「村娘をさらってくるのは結活だと聞きました。働き手の不足も聞いています。どうでしょうか?全て解決できるとしたら数々の
何度目かの同じような提案。ここが僕の設定した中世っぽい世界であるならば、小鬼がいようがエルフがいようが……中世以降の知恵が僕にはある。それ以前に
見回せば人々はシーンとしていたが、白いヒゲを蓄えた老人が一人、静かに挙手をしていた。
「詳しく、話を聞かせてもらおうかのぉ」
老人の言葉に僕は不覚にも涙を流し、マルタさんとアリスタさんが洩らすほどに驚いていた。この人たちはとても失礼だけど良い仲間だ。
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